









移住歴:15年
門川町で株式会社新門トマト農園を経営する新門剛さん、綾子さんご夫妻。町内2カ所、合わせて55アールのハウスで、糖度7度から9度の甘くてコクのあるトマトを周年生産しています。
夫妻が門川に移住したのは15年前。新門さんは東京で勤めていたころから、将来は独立して、趣味のサーフィンもできる生活がしたいと夢を描き、家族にも話をしていました。やがて、種子島に家と農地を借りることができ、念願の就農&サーフィン生活が始まるはずでした。ところが、引っ越しの途中でフェリーが日向に着いたことが新門さんの人生を大きく変えていきます。
農業をするなら甘いトマトを作ろうと考えていた新門さんは、当時、門川に先進的なトマトファームがあったことから、フェリーが着いたら生産者の見学をしようと考えていたのです。サーフィンも兼ねて滞在するうちに、サーファーでトマト農家の曽川政司さんと出会い、農場の人手が足りないから1年間研修がてらやってみないかと誘われます。新門さんも種子島でひとりでトマト栽培を始めるには不安もあり、迷った末に門川での研修を選びました。
「ちょうど五十鈴川河口にいいポイントがあって、サーフィンの研修でもあったんですよ」と笑う新門さん。家を借り、生まれて間もない長女を連れて綾子さんもやってきました。
「知らない土地でしたが、近所や農家のみなさんにいろいろお世話になり、その雰囲気がとても居心地がよかった」と当時を振り返ります。1年間の研修を終えた時、再度種子島行きを考えましたが、門川での就農を強く勧めてくれた農家のみなさんや、冬場の日照時間が長いなどトマト栽培に合う気象条件だったこともあって、門川での就農を決めました。「ハウスを新設する設備資金の借り入れなども周囲の協力のおかげでクリアできました。しかし、5〜6年は収穫も安定しなくて、農業収入だけでは生活できませんでした」。その苦労も、7年前に土耕から水耕に切り替えたことで収量も品質も安定し、経営が成り立ってきました。
こうして“師匠”の曽川さんと共にさまざまな工夫を重ね、失敗しても“次をうまくやる”と切り替えながら、甘いトマト作りに打ち込む日々が続きます。トマトは2〜5カ月でローテーションするため、次々に新しい工夫を試せたのです。
将来は今の1.5倍程度まではハウスを広げる計画があり、雇用の問題や資金調達のことなども考えて、平成19年11月に農業法人化して株式会社を設立。現在は夫妻のほか、常勤4人、忙しい時期に臨時を4人という体制で仕事をしています。
「今のトマト、上出来ですよ。よくぞトマトを選んだと思います。多くの人においしいトマトを食べて喜んでいただくため、同じ栽培方法でトマトを作る仲間を増やしていきたいんです」と語る新門さん。チャレンジ精神旺盛でタフなイメージですが、ここに来るまで止めようと思ったことも2度3度あったとか。「その時に、支えて励ましてくれたのは妻でした。家族がいたからやれたと思います」。いつか綾子さんが工夫したトマト料理の店を東京に出せたらなぁと笑顔を見せる新門さんです。