みやざきの味と花101ロゴ 平兵衛酢(へべず)

 

●皮薄く絞り汁が豊富
 江戸の末期、日向・富高村の黒木平兵衛さんの庭先で栽培されたことに由来する。名前も平兵衛さんから取り、「へべず」と呼ぶようになった。平兵衛さんは心優しく、自ら育成した本種を接ぎ木にして、近隣の農家に分け与えた。後年、その遺徳をしのび、日向市富高の西川内に「平兵衛翁之碑」が建立された。
 露地ものは8月中旬から10月中旬まで出荷される。近年はハウス栽培も行われており、5月から8月まで「夏の酢ミカン」として重宝されている。日向市を中心に門川、東郷町、西郷村で栽培され、年間の収穫は100トン前後。
 酢ミカンはかんきつ類の中で酸の含有量が高く、生食には適さない。その半面、さわやかな酸味と香味を持ち、料理の調味料、薬味として用いられる。
 「すだち」「かぼす」「橙(だいたい)」「ユズ」は仲間で、「木酢」とも言われる。全国でも盛んに栽培されており、その土地のお国自慢の味になっているものも多い。徳島のすだち(年間収穫量8,000トン)、大分のかぼす(5,600トン)、沖縄のシイクワシャー(1,500トン)がその代表。
 これに対し、「へべず」は徳島の「すだち」より玉が大きく、皮も薄いためたっぷり絞り汁が取れる。そして大分の「かぼす」よりも香りが優しく、酸味もくせがない。
 ただ、灯台もと暗しで、地元宮崎より別府、福岡、門司、下関などフグ料理の盛んなところでは戦前から「へべず」が珍重され、愛用されている。もっとも近年は県外への贈答品としても使われているが、もっと県民が県産品として愛用、「へべず」のよさを理解することが必要だろう。
 「へべず」は今、長期貯蔵法の確立にも取り組んでいる。参考にするのは青森県。北国のリンゴ貯蔵法の応用で、秋から真冬まで貯蔵しようというものだ。消費拡大に期待がかかる。
森 松平
メモ
 ポン酢の作り方(1)材料は「へべず」180cc、濃口しょうゆ180cc、みりん大さじ2(36cc)、コンブとかつお節少々(2)(1)を混ぜ合わせ、容器に入れて保存する(3)食べる材料に合わせて、だし汁または水で薄めて用いる。「へべず」に他の酢ミカンを加えると、もっとまろやかな特製ポン酢ができる。





平兵衛酢(へべず)の写真
さわやかな酸味と香味で
調味料、薬味に愛用

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