みやざきの味と花101ロゴ おちちあめ
 
 

●郷愁を誘う参拝土産
 宮崎の銘菓には神話・伝説にちなんだものが多い。代表的観光地である日南市・鵜戸神宮にもそんな銘菓が伝わる。
 鵜戸神宮は神武天皇の父・ウガヤフキアエズノミコトを祭り、海幸・山幸の伝説の舞台として知られる。縁結び、夫婦和合、安産の神様で、日南海岸観光ルートの中心。
 その鵜戸神宮の名物が産後に口に入れると、乳の出がよくなるという「おちちあめ」なのだ。由来は海幸・山幸伝説に登場する豊玉姫にまつわる話から。
 山幸彦と結婚した豊玉姫は産気づき、「お産を終えるまで、産屋をのぞかないで」と言って産屋にこもる。しかし、山幸彦は誘惑に勝てず、のぞいてしまう。そこにはワニの姿になった姫の姿。悲しんだ姫は産んだ赤子を残して海に帰り、妹の玉依(たまより)姫を代わりに送り届ける。
 山幸彦と玉依姫は岩屋の中に残された豊玉姫の乳房からしたたる乳水で、赤子を育て上げた。この赤子がウガヤフキアエズノミコトであった。 鵜戸神宮の岩屋の壁には乳房の形をした二つの突起がある。これが豊玉姫の残した乳房。そこからしたたり落ちる水を飲むと乳が出るようになるという。ここから「おちちあめ」が銘菓として登場する。
 米であめを作り、水あめと混ぜ合わせる。冷やして棒状に約3センチに切る。戦前から鵜戸神宮参道沿いで売っていた。20年ほど前に「鵜戸おちち飴製造協組」(長谷川弘組合長)を組織、共同の工場を作って製造している。現在、参道周辺の6店で販売。母乳に似た味が郷愁を誘い、土産品として定着している。
 鵜戸神宮には銘菓とは別に、もう一つの「おちちあめ」がある。神宮が安産祈願参拝の妊婦に授ける「おちちあめ」だ。直径2センチほどのだ円形で、参拝客にお守りとして授ける。霊験あらたかと言われる。
南村 正明
メモ
 鵜戸神宮のお守りの「おちちあめ」を製造しているのは都城市の業者。トウモロコシでんぷんを砂糖と混ぜ、それに神宮から瓶詰めにして運んだ”お乳水”を加える。これは「おちちあめ」を作るうえで一種の儀式となっている。あめを湯で溶かした「おちちあめ湯」はかつて、正月に初もうで客に振る舞っていたが、今は境内の休憩所で一年を通して夏は冷やし、冬は温めて提供している。





おちちあめの写真
海幸・山幸伝説に由来する
銘菓と、お守り

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