みやざきの味と花101ロゴ 魚の干し物
 
 

●冬場にはキビナゴも
 宮崎の海岸線は中央部が単調で、南北がリアス式海岸になっている。そこにはいろいろな魚種がすみ着き、古くからその恩恵にあずかっている。しかし魚は生もので腐りやすい。干し物はそうした弱点を克服するために考え出された加工食品である。
 戦国時代、伊東氏を豊後に追い、宮崎に入った島津氏は天正11年9月、延岡の土持氏と熊本の阿蘇氏とを断絶させるため、県北から熊本に向かう塩漬けの魚を止めたという記録がある。日向灘沖でとれた魚は干し物にされ、遠くまで運ばれていたのである。
 北浦町は県内でも代表的な漁業基地であり、魚の水揚げ量も多い。江戸時代、それらの漁港では旅商人が塩魚や干し物を買い取って流通させていたが、幕末には柳沢町(延岡市)の市場で取引するよう制限された。それだけ干し物は一般庶民の生活になじんでいたと言えるのである。
 現在、北浦町などではカマス、アジの丸干し・開き・みりん干し、カタクチイワシ、ウルメイワシなど地元で取れた魚を加工している。「カタクチイワシが一番おいしいでしょうね。カタクチイワシは大きさが小ぶりで、一夜干しの状態にします。これは焼いたときに、丸く膨れるんです。軟らかくて口に入れるとトロけるような味になります」と語るのは北浦町で干し物店を経営する阪本龍雄さん。このほかみりん干しはタレにつけて12時間ほど乾燥させる。脂が乗り、焼いたときの香りが食欲を誘う。冬場にはキビナゴを3、4時間干し、くしに刺したものが珍しい。
 1998年度の県内干し物の生産量は素干し222トン、塩干し1,710トン、煮干し1,684トンである。関東や関西方面のデパートで物産展を開くと一番喜ばれるのは干し物だという。豊かな恵みを与える日向灘の代表的な味である。
若山 浩章
メモ
 料理研究家・森松平さん(宮崎市)は自家製の干し物づくりを勧めている。塩干しイワシは鮮度の良いものを丸ごと水洗いして15%塩水に1時間ほど漬け軽くふいてから天日乾燥。アジの開きは10%塩水に30分ほど漬け、皮目を下に身を上にして干す。風通しの良いところで最初は陰干し、しばらくして日干しにする。仕上げに酒を一塗りすると味はさらに引き立つ。





魚の日干し作業の写真
日向灘でとれた魚の日干し作業

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