みやざきの味と花101ロゴ 日向夏ミカン
 
 

●風味に優れ果汁豊富
 「晩春初夏のころ、東京や大阪の名のある果物店の店さきに、日向夏蜜柑(みかん)、またはニューサマーオレンジという名前のつけられた蜜柑がならぶ。ふつうの夏蜜柑よりかいくらか小柄な形と、淡黄の絵具をとかしたような品のいい色をしている。ちょうど果物のすくない時節で、店さきにみられるのは桜桃(さくらんぼ)や、ビワくらいであるが、それらにまじって、その蜜柑はひときわたかい気品をはなっている」
 これは1957(昭和32)年出版の「日向」の一節。著者・中村地平は日向夏について多くのことを記している。中でも冬季の寒害について、保温用の袋掛けをすることで落果を防げるとの指摘には驚く。
 日向夏は文政年間(1818〜1829)に宮崎市赤江の真方安太郎宅で偶発実生から発見された。宮崎原産だが、明治中期以降、全国的に知られ、高知で土佐小夏、静岡、福岡、愛媛ではニューサマーオレンジの名で生産されるようになった。
 県内では日南市、清武、高岡、綾町を中心に毎年2,600トン前後生産され、少核系、早生(わせ)系、高糖系の優秀な系統選抜が進んで苗木の増殖も始まった。
 果実はやや下ぶくれの球形で約200グラム。外皮は黄色。果肉との間に厚めの白い内皮があり、果肉は淡黄色で果汁はたっぷり、酸味も適度で香気があり、風味に優れている。本来は晩春から初夏の果物だったが、栽培技術の発達でハウスものは正月から出荷され、露地もののはしりも2月中旬の早さとなった。
 日向夏の研究、普及で忘れてならないのが三輪忠珍(ただよし)=1956(昭和31)年没。宮崎大学農学部教授として日向夏の授粉、授精の研究に尽くした。現在は贈答品として人気が高く、また果皮の香りに着目し、お菓子にも利用されている。
森 松平
メモ
 篤農家の日向夏は一般のものに比べて、同じ大きさでも重く感じる。食べ方はリンゴの皮をむく要領で黄色い外皮を薄くむき、白い内皮を残す。種のある中心部をさけるように7つか8つ、縦にそぎ切りする。とびきりの日向夏は砂糖もはちみつもいらない。葉も飾り、イチゴと盛り合わせると彩りもよく、食欲をそそる。きれいにむいた外皮を容器にすれば格別な風味を演出してくれる。





日向夏ミカンの写真
香気、風味に優れ、
宮崎の代表的果物

目次へ 56 冷や汁のページへ
58 大名竹のページへ