みやざきの味と花101ロゴ 魚うどん
 
 

●うまい水が一番肝心
 「分け入っても分け入っても青い空」の句で有名な種田山頭火は、1930(昭和5)年10月、日南海岸を旅した。飫肥で「水の味も身にしむ秋となり」と、水にも旬があると詠み、油律、目井津、榎原の道中では「こんなにうまい水があふれている」[飲まずには通れない水がしたたる」と水のうまさをほめた。
 水のうまさ、よさは食の豊かさに通じる。日南地方の食文化が高いのもうなずける。「魚うどん」はそんなうまい水を背景に日南市油津で生まれた。
 沖を黒潮が流れる日南地方は四季ごとの海の幸に恵まれ、いろんな魚料理がある。日干かし魚、塩蒸し、塩煮、煮つけ、なます、まびきの塩汁、ぼったり汁、ウルメのてんぷら、フカの湯がき、ムカデノリのみそ漬けなど地元の素材をうまく利用している。
 「魚うどん」は1940年代の食糧難の時代、うどん粉の代わりとしてふんだんにある地どれの魚のすり身で作った。いわば戦時中の代用食だったのだが、これが再び脚光を浴びるようになったのは80(同55)年、魚料理の普及に努めていた日南漁協婦人部(井野愛子部長=当時)がテレビの料理番組の取材を受け、その中で土地の老人から「魚うどん」の話を聞き、再現してから。
 最初はシイラを使ったが、うま味があり、白くてうどんらしく仕上がることからトビウオを使うようになった。今では毎月開く「港あぶらつ朝市」で食べられる。普及に努め、昨年亡くなった井野さんは「常設の食堂で提供して普及をはかりたい。ふるさとにこんなにおいしいものがあることを知ってほしい」と語っていた。
 「魚うどん」を作るには原料のすり身のほか、「うどんつき」が必要。すり身100グラムに対して水20ccの割合でのり状にすり合わせ、2グラムの塩を入れると、シコシコ感が出てくる。もちろん一番肝心なのは日南のうまい水である。
森 松平
メモ
 魚うどんの作り方(宮崎県漁連発行「魚、郷土料理集」から)材料(4人分)はトビウオすり身400グラム、かたくり粉カップ1/2、塩大さじ1/2、卵1個、きざみネギ、ユズ、ショウガ少々。すり身に卵を加え、よくすり合わせる。倍の水でといたかたくり粉を少しずつ加え、塩も加えてすり合わせる。熱湯の中にうどんつきで突き出し、水でさらす。うどんつゆに入れ、薬味を添える。





魚うどんの写真
地どれの魚が原料。
黒潮の味が伝わる

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