みやざきの味と花101ロゴ 地鶏炭火焼き
 
 

●飼料の工夫で低脂肪
 宮崎が、「新婚旅行のメッカ」としてにぎわったのは、昭和30(1955)年代の後半から同50(75)年代初めまでである。ピークの1974(昭和49)年には、宮崎市に年間370,184組の新婚客が宿泊。これは同年の全国婚姻組数の37%である。
 そのブームの火付け役になったのが、島津久永さんと貴子さんの宮崎ハネムーンだといわれている。
 貴子さんは、昭和天皇の第五皇女清宮(すがのみや)である。宮崎県の旧佐土原藩主の流れをくむ島津久永さんと結婚、60(同35)年5月3日、宮崎へ新婚旅行で来られた。その夜ハプニングが起こった。島津夫妻は宿舎の宮崎観光ホテルをひそかに抜け出し通称ニシタチ通の「丸万」へ、鶏(とり)のもも焼きを食べに行かれたのである。このことが話題になって、宮崎地鶏(じどり)のもも焼きが一躍有名になった。
 鶏の代表的な品種であるブロイラーは、宮崎県と鹿児島県が常に日本一を争っている。99年の調査では、飼養戸数が宮崎472戸で1位、鹿児島が394戸で2位、飼養羽数は鹿児島が1,865万羽で1位、宮崎が1,746万羽で2位となっている。
 宮崎地鶏の特色は大自然に恵まれ、温暖な気候と飼料の工夫により、低脂肪で低カロリー、低コレステロールのヘルシーチキンであることだ。臭みがなく、さわやかな風味と、肉のしまりも程よく、心地よい歯ごたえが好評である。
 もう一つ、おいしさの秘密は、もも焼きの豪快さとともに、炭火焼きであることだ。木炭には白炭と黒炭があり、宮崎は和歌山に次いで全国2位の白炭生産地である。中でも備長炭の樫(かし)小丸が有名。白炭は火力が強く、火持ちもよい。炭火が燃えるときに出す遠赤外線が、宮崎地鶏の素材のうま味をぐっと引き出すのだといわれている。
渡辺 綱纜
メモ
 島津貴子さんの話から丸万を紹介したが、県内には鶏の炭火焼きの店は多く、常連や観光客に親しまれている。丸万の創業者は前田トモエさん(故人)で、戦後に宮崎市でスズメの焼き鳥屋台を始めたが、禁猟期間があることから、代替に鶏のもも焼きに目をつけた。肉が骨から離れないように切っていくのと、手のひらに塩をつけて、たたくように味つけするのがコツだった。





地鶏炭火焼きの写真
心地よい歯ごたえ。
炭火焼きがうまさを引き出す

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