みやざきの味と花101ロゴ キリシマミズキ
 
 

●霧島に春到来告げる
 春は、里から山にゆっくりと上っていく。4月半ば、えびの高原に遅い春が訪れるころ、キリシマミズキが周辺を萌黄(もえぎ)色の花明かりで染める。
 九州では、霧島山系でしか見られず、霧島の春を代表する名花である。高原の渓流沿いやかん木に交じって、葉のない枝先に垂れ下がって咲く花の姿はかれんであり、けなげにも感じられる。どんな自然条件にもめげず、木々の芽が硬い鱗片(りんぺん)に包まれている時期に毎年花を見せてくれる。
 マンサク科、トサミズキ属の落葉低木で、高さ2〜3メートルになる。標高800〜1,600メートル付近まで分布、韓国岳のえびの高原側と爆裂火口付近に多く自生している。火山地帯という過酷な自然環境によって創生された樹木で、岩石地に好んで生育している。
 4月中旬から5月の半ばごろまで、葉のない枝先に穂状花序を垂らし、淡黄色の花が5〜9個連なって開く。花軸は無毛、5個の花弁は長さ約7ミリ。雄しべは長さ約5ミリ。がく筒は長さ約1.5ミリの鐘形で無毛。先は5裂し、裂片は鐘形で長さ約1.5ミリ。
 花が終わると、約5センチのうちわ形で葉脈の走る美しい葉をいっぱい出し、姿を変える。葉は互生し、柄があって上面は無毛。下面は初め多少の星状毛と脈上に伏毛があるが、後に無毛となり粉白を帯びる。基部はやや心形となっている。花のあとは、その花の数だけ朔果(さっか)を付け、秋に熟して光沢のある長さ約7ミリの黒い種子ができる。葉が黄葉し、落葉したあとに垂れ下がった実に霧氷が付く姿は、えびの高原の冬の風物詩の一つである。
 霧島山系で最初に発見され、その名が付いた植物はキリシマミズキのほか、キリシマヒゴタイなど17種類。霧島の特産植物・キリシマミズキの花明かりは、高原を訪れる人々の心にほのかなぬくもりを贈る。
大谷 優
メモ
 和名は「霧島水木」。枝を析ると水がにじみ出ることから名前が付いたというが、キリシマミズキはこの水木とは全く別物でマンサクの仲間である。似た花にトサミズキ、ヒュウガミズキ、マルバマンサクなどがある。特に「日向水木」の名前は宮崎にちなんだものだが、野生のものは宮崎にはなく、能登半島とか丹後辺りに自生し、庭園樹、盆栽などに栽培されている。





キリシマミズキの写真
けなげに咲く淡黄色の花

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