みやざきの味と花101ロゴ ツクシアケボノツツジ
 
 

●自然林の尾根筋彩る
 遠美近醜という言葉があるが、この花は近くから見ても遠くから眺めても美しく風情がある。山頂から眺めるツクシアケボノツツジは、5月のゴールデンウイークを賛歌するかのようにもえ出た照葉樹、針葉樹の緑の中に淡紅紫色を振りかけたごとく競い咲く。敷き詰められた緑のじゅうたんの美しさとのコントラストは、明日の大地を約束するほのぼのとした夜明けを思わせる。近くで見ると、山風に揺れる花びらは郷愁をそそるぼんぼりになる。
 ツツジ科ツツジ属の落葉高木で、日本固有のものである。高さ3〜10メートルになり、宮崎県北の山では幹の直径が約20センチ、樹齢100年以上になるものも見られる。庭園などに植栽されているサツキ、ヒラドツツジ、クルメツツジなどの観賞用ツツジとは違う豪快な花木で、自然林の多い尾根筋に多く生育している。
 5月上旬、裸木のやせた長い小枝の先にさかずき形に似た淡紅紫色の花をやや下向きに葉の出る前に1個咲かせる。有柄でがくは小さく緑毛があり、花冠は鐘形で5裂し、直径約5センチ。上面に黄褐色の斑点(はんてん)があり、雄しべは10本、雌しべは1本で花柱と子房は無毛。花が終わると若葉が出て、しばらくすると枝の先に5枚の輪生した本葉に成長する。
 秋には円柱状で約2センチの実が熟し、5片に裂けて小さな種子を落とす。極小の軽い種子は、風などで遠くまで飛ばされる。条件のよい場所に落ちた種子は、自然発芽で幼木となる。現在は自然林の伐採などで希産種となったが、県北の山では幼木の群落が多く、10年たてば花を咲かせる大きさに成長し、2メートルの高さになると花が開く。
 九州山脈の市房山から県北の祖母傾山系、県中央山地尾鈴山系などに多く自生し、霧島山系と南那珂山地には生育していない。南限は鹿児島県大隅半島の高隈山である。
大谷 優
メモ
 和名は「曙躑躅」。花の色をほのぼのとした夜明けの色にたとえたものである。ツクシアケボノツツジはアカヤシオツツジの変種。四国から九州に分布している。九州ではツクシアケボノツツジとアケボノツツジの2種が生育。ツツジ科は世界に約82属、2,500種がある。日本には22属、91種。このうちツツジ属はシャクナゲの仲間など43種。観賞価値は高い。





ツクシアケボノツツジの写真
清純な美しさで晩春を彩る

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