みやざきの神話と伝承101ロゴ 35 二上山の伝説
 
 
 
       
  ●膳や椀貸す水神祭る
 ニニギノミコトが降臨したと伝承される山は、いくつもあり、日向神話の話題を豊かにしている。古事記では「日向の高千穂のくじふるたけ」、日本書紀ではこのほかに「くしひの高千穂のたけ」「高千穂のくしひの二上のたけ」などを挙げている。
 古来、山容が美しくて高い山は、神霊が宿るとして崇敬されてきた。降臨の霊地が分かれるゆえんである。
 五ヶ瀬町と高千穂町の境に、二上山と呼ばれる信仰の山がある。標高1,060メートルの山頂は男岳と女岳の2つの峰に分かれ、高千穂町から遠望する山容は、2つの峰がそびえ立って特に秀麗である。ニニギノミコトは、大勢の神々を引き連れて、この山に天下ったと伝えられている。
 男岳の南9合目あたりに三ケ所神社奥宮がある。険しいがけの中腹にあり、参詣が容易でないので、今から千年ぐらい前に、ふもとに社殿が造られたとされている。
 昔、この山から流れ出る川の途中に、「ウゲの窓の瀬」というところがあった。村人は水神を祭って信仰していたが、この水神には不思議な霊力があった。
 村に寄り合いなどがあり、お膳(ぜん)やお椀(わん)がたくさんいるときは、ここにきて水神を祭った。願いをして翌日行くと、必要なほどのお膳とお椀がそろえてあった。村人は寄り合いのあるたびに、この水神に願って助けてもらった。
 ところがあるとき、1人の男がお膳とお椀をたくさん借りて使ったのに、返すときにお椀が1個足りなくなっているのに気付いた。男ははたと困ったが、よく似たお椀を1つ探してきて、これをまぜて水神の社に返し、素知らぬ顔をして暮らしていた。
 間もなく次の村人が借りるために願いをかけて、翌朝行ってみたが、お繕もお椀も出ていなかった。水神にうそをついた者がいたため、以後村人の願いはいっさいかなえてもらうことができなくなったのであった。
 この種の伝説は各地にあって、「椀貸し淵伝説」と呼ばれている。
 延岡市稲葉崎の「山姥(やまんば)の横穴」は、山姥が穴から美しい手だけ出して祝儀の道具を貸す伝説。木城町の「持見(もちみ)の穴谷」は、物持ちの美女がいて、穴の外で手をたたくと膳、椀を貸してくれたという。いずれもいたずらをする者がいたために、願いがかなわなくなる話である。
甲斐亮典
 






二上山の写真
二上山。
遠望する山容は秀麗

       
 
 
 

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