みやざきの神話と伝承101ロゴ 36 五ヶ瀬川水系の守護神
 
 
 
       
  ●「五行説」により配置
 五ヶ瀬川は五ヶ瀬町鞍岡白岩山が源流で、日本最古の地層として知られる祇園山の西を流れ、同町波帰付近から東流、高千穂、日之影、北方町を経て延岡市から海に注ぐ。全長160キロ、この間67の支流を加えて豊かな水を運ぶ県北最大の河川である。
 「五ヶ瀬」の地名は、イツセノミコト(五瀬命)の命名とも、あるいは五瀬命の名によったとも伝えられる。「日向神話」ゆかりの神武天皇の父・ウガヤフキアエズノミコトは長兄・イツセノミコト、次兄・ミケヌノミコトらとともに軍を率いて九州を発進、東征に向かったと伝えられている。
 五ヶ瀬川水系には多くの水神が祭られているが、五瀬命自らが臣下を遣わしたと伝える〈五大水神〉が著名である。まず、東方は日之影川(見立川)に川詰神太郎、西方が三ケ所川の廻渕に雑賀(さいが)小路安長、南方が七折川(綱ノ瀬川)に綱瀬弥十郎、北は田原川に漣(さざなみ)三郎。そして、中央は本流の三田井・高千穂峡に御橋久太郎である。
 かつては山の尾根筋か、あるいは川筋が交通の要路となっており、五大水神は豊後(大分)路からの侵入、肥後(熊本)路からの暴民を防ぎ、ミコトの一団を守護する役を担っていたと伝えられる。臣下の重責を後世に伝えるためといった説もあるが、定かでない。
 一帯はかつて地下資源の宝庫で、日之影川上流に大吹鉱山、三ケ所川沿いに廻渕鉱山、綱ノ瀬川沿いに槙峰鉱山、また田原川沿いにも金、銀鉱山があった。樋口種実の「高千穂庄神跡明細記」の神橋の条に「三田井村より向山に渡る水中・・・諸神住みて鉄気を忌む」(高千穂峡)とあり、五大水神はあるいは鉱山とかかわりがあるのかもしれない。
 ひとたび川が暴れると、周辺集落に大きな被害を及ぼした。五大水神の配置は〈五行説〉によっており、五行説の根本思想に自然の運行の順調な推移を願うことがある。おそらく〈川鎮(しず)め〉に祭ったのであろう。一般にカッパをカワタロ、ヒョースボなどと称するが、一説によれば、人名を持つ五大水神はカッパの化身ともいう。
 中でも霊験あらたかなのは長兄の神太郎。神太郎水神渕の水を使うと文字が上手になり、集落では日清・日露戦争以来ひとりの戦没者も出さなかったという。「神太郎さま」の守護のおかげだと伝えている。
山口保明
 






神太郎水神社の写真
神太郎水神社。
霊験あらたかと住民の信仰を集める

       
 
 
 

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