みやざきの神話と伝承101ロゴ 37 銀鏡の地名伝説
 
 
 
       
  ●姉だけ嫁入りできず
 ニニギノミコトが高天原から降臨した後、笠沙(かささ)の御前(みさき)というところを歩いていると、1人の美人に出会った。
 「あなたはだれの娘か」と聞くと、「オオヤマツミノカミの娘で、名はカムアタツヒメ、またの名はコノハナサクヤヒメ。私の姉はイワナガヒメ」と答えた。ニニギは「あなたと結婚したいが、どうか」と言うと、娘は「わが父オオヤマツミにお聞きください」と答えた。
 そこでニニギは、オオヤマツミのところに行き、お願いした。オオヤマツミは大変喜び、多くの贈り物とともに、コノハナとその姉・イワナガを一緒に差し上げた。
 ところが、イワナガはあまり美人ではなかったので、送り返されてしまった。そのときオオヤマツミはこう口に出して言った。
 「自分が2人の娘を差し上げたのは、イワナガを召されると、ニニギの生命は、岩のごとく永遠であり、コノハナを召されれば、木の花が咲くように栄えるだろうと思ったからだ。コノハナだけを召されたので、ニニギの生命も木の花のように、はかないものになるだろう」
 イワナガは送り返されたことが悔しくて、毎日鏡に自分を写し、美人に生まれなかったことを残念がった。あるとき、自分の顔が竜のように見えたので、鏡が憎くなり、後ろ向きに鏡を放り投げてしまった。
 鏡は遠くへ飛んで行き、東米良の竜房山の頂の大杉にかかった。鏡は光り輝き、ふもとの村を明るく照らしたので、この村を白見村と言うようになった。その後、村人は鏡を村に下ろし、ご神体として祭ったという。それが銀の鏡であったので、銀鏡と書いて「しろみ」と呼ぶようになった。
 これが銀鏡の地名由来である。銀鏡神社は、イワナガとオオヤマツミを祭神としており、ご神体には古代の白銅鏡が祭られている。
 コノハナとイワナガの神話は、古事記にも日本書紀にも記述されているが、イワナガが鏡を投げるところから後の話は、日向だけで語られている。銀鏡神社の縁起を語る神話として伝承されてきたのであろう。
 古代には姉妹が同時に天皇と結婚する例があり、このような神話を生んだと思われる。また本来、別々の結婚神話であったものが、1つの物語にまとめられたとも推測されている。
甲斐亮典
 





銀鏡神社の写真
銀鏡神社。
ご神体に白銅鏡を祭る

       
 
 
 

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