みやざきの神話と伝承101ロゴ 73 香取神社の打植祭と天之宮
 
 
 
       
  ●毎年初卯に2神面会
 えびの市今西に鎮座する香取神社は、真幸院一之宮であった。祭神は「斎主命(いわいぬしのみこと)」(フツヌシノミコトと同意味で、香取の祭神フツヌシが鹿島神の斎主であったことからこの神名があると考えられている)で、藤原大職冠鎌足の命で勧請(かんじょう)したという。
 鹿島神のタケイカヅチノミコトと香取社の祭神フツヌシノミコトの2神が天孫降臨に先立って葦原の中つ国に行き、平定したという故事から辺境を守る旅に赴く兵士たちが安全を祈った。武神としての名も高く、代々の領主の厚い崇敬を受けてきた。
 同神社祭礼の2月初卯日に行われる「打植祭」は五穀豊穣(ほうじょう)を祈願。同市正原の「天之宮」に出向き、神霊を迎えることから始まる。「天之宮」の神体は、拝殿の奥に鎮座する山中の巨石。ここは一宮の斎王命の神霊を留める所という。神石の辺りにわき出る水の守護神であり、わき水は下流の水田を潤した。
 2つの神社を結ぶ伝承と祭りは、こうである。
 香取社の祭神は女神で、「天宮さま」の内縁の妻であったという。この女神と天宮様は、香取社で暮らしていたが、同市大明司の「お諏訪様」が女神に恋して通ってくるのが天宮様に見つかり、怒った天宮様は天宮社に引っ越してしまった。その怒りが、祭礼の日に決まって鳴る雷であるという。フツヌシノミコトとタケイカヅチノミコトは同じ神とみられており、その象徴である雷は激しい戦いの神を表し、もう一方では農耕に大切な雨を呼ぶ神とも伝えられている。
 しかし、毎年初卯の日には、女神が天宮様を迎えに行き、香取社で1年ぶりの面会をする。その祭りが香取社の打植祭であるともいう。
 祭りは香取社で始まる。祝詞が奏上され、2歳の神馬に女神の霊が乗り移る。神主を先頭に天之宮へ。普通の道ではなく、上江、田代地区の山道や田のあぜ道を通る。途中で一度休憩、神酒がふるまわれる。天之宮に着くと、神前で神事があり、田代地区の人々が神に農作物を供える。
 神事が終わると、神馬は神体の周りを3回まわり、再び香取社に向かう。帰路は往路と異なり、最も短い距離をとる。帰りも途中で1回の休みがある。香取社に帰ると、再び神事。その後、神苑のモウソウ竹で作ったカギ引き、木馬による農耕の打植神事が行われ、五穀豊穣を祈願する。
永井哲雄
 






打植祭の写真
打植祭。
農作物を供え、五穀豊穣を祈る

       
 
 
 

  目次のページへ 72 狗留孫山の石卒塔婆のページへ 74 高千穂峰と降臨のページへ