みやざきの神話と伝承101ロゴ 74 高千穂峰と降臨
 
 
 
       
  ●秀麗な山容誇る霊山
 霧島山群の中に、ひときわそびえ立つ高千穂峰(1,574メートル)は、周辺のどこから眺めても秀麗な山容を見せ、霊山の印象を与える。この山の姿があってこそ、天孫降臨の神話が生まれたのではないかと思われる。昭和9(1934)年、わが国最初の国立公園に指定された。
 古事記も日本書紀も、葦原中国(あしはらのなかつくに)が平定された後に、ニニギノミコトが、3種の神器を授けられ、神々を率いて降臨したと書いている。しかし、降臨の場所についての記述は一定ではない。
 古事記では、「筑紫の日向の高千穂のくじふるたけ」とするが、日本書紀では本文のほかに4通りの記述がある。本文が「日向の襲の高千穂の峰」、1書第1が「日向の高千穂くじふるの峰」、1書第2が「日向のくじひの高千穂の峰」、1書第4が「日向の襲の高千穂くじひ二上峰」、そして1書第6が「日向の襲の高千穂そほりの山峰」である。
 神話の物語が語られていくとき、その時代設定は、明らかに稲作が展開する弥生時代を意識している。高天原でのスサノオの乱暴な行動に、田のあぜを踏み壊したり、田に水を引く溝を埋めたりすることが出てくるのもそうだ。
 ニニギの名は、アマツヒコホノニニギノミコトという。アマツヒコは天津神の子の意味であるが、ホノニニギは稲穂が豊かに実ったことを意味している。高千穂に降臨する神話は、豊かに実った稲を高く積んだところに、穀霊を象徴する神が降臨することを意味しているという。
 また日本書紀の1書第2には、降臨に当たって、天照大神が「高天原にある斎庭(ゆにわ)の穂(稲穂)を与えよ」と言われたことが出てくる。天照大神は、機屋(はたや)で神衣を織らせ、神田に稲をつくり、大嘗祭(だいじょうさい・秋に実った新穀を神々にそなえる神事)を行う神とされている。
 神話の中のニニギは、高千穂に降臨した後、不毛のやせた土地から、平地が開け、太陽の輝く土地に出たことになっている。そして、オオヤマズミの娘コノハナサクヤに出会う。
 ニニギとコノハナの出会いの神話を伝えているのは木花神社(宮崎市)と都萬神社(西都市)である。どちらも付近から高千穂峰を遠望することができる。神話は自然の景観と一体になって語られている。
甲斐亮典
 






高千穂峰の写真
高千穂峰。
霊山の印象を与える秀麗な山容

       
 
 
 

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