みやざきのうたと芸能101ロゴ 西長江浦大太鼓踊

 
●幾何学的な陣形見事
 島の嶽(たけ)のつつじ まの嶽のつつじ見あげ見おろし 見とござる(「島の嶽」)
 太鼓踊りや棒踊りには、都ぶりの歌詞を多く見かける。激しい動きとよく調和するのも魅力。「ウバッチョ踊り」「ウデコ踊り」ともいい、薩摩・川内川流域芸能として位置づけられる。
 8月28目、集落の鎮守南方神社に奉納される。土地の人々は「お諏訪どんの祭り」と呼ぶ。踊りの編成は普通鉦(かね)方10人、太鼓方12人、計22人。鉦方は親鉦・子鉦で各1人が陣がさをかぶり先導役を務める。装束は紺の着物にへこ帯、黒足袋にせった履き。陣がさ以外はシデがさ、これに鶏の羽を飾る。かさの中央の日の丸は、霧島修験の大日如来をあしらったものだろう。太鼓方の装束は浴衣の着流し、白の鉢巻きにわらじ履き。腹部に径1メートルほどの大太鼓を抱き、背に約3メートルの矢旗を固定。「南方神社」の文字の白抜きのばり、上部に方形の布旗、それに猿のつくり物をさげる。猿は霧島山の山王の使いを意味するとみられる。
 準備はすべて長江浦の集落センター。午前10時ここの広場からまず弁財天社へ奉納。さらに諸社へ奉納の意味を込めて二庭(ふたにわ)(2回)踊る。休息の後、略装のまま近戸神社へ奉納、本番の南方神社へ。午前11時半、「道鉦」を打ちながら出発、約1キロを進む。「お諏訪どん」では再び踊り装束を調え、社前において2庭踊る。都合、5庭の奉納となる。
 踊りの陣形は円中央に鉦方が2列に並び、その周囲を太鼓方が時計回りに進む。リズムの取り方はひざの屈伸によることが多く、鉦方は跳躍姿勢、太鼓方は上半身を活発に用いる。演目の区切りは全員の「ヤァードッコイ」の唱和による。踊りは勇壮活発、幾何学模様の陣形が見事である。
 400年の歴史をもつとも伝えられる。この種の踊りは戦いの話がつきものだが、ここでは諏訪神の信仰伝承がもとになっている。装束や芸態からみると、水神・山神の供養、または祖霊供養、それに民俗行事の「虫送り」などが加味され、時季からすれば豊年祝いの要素も加わっている。
山 口 保 明
メモ
 踊り歌は(1)「水のみしま」(2)「島の嶽」(3)「虫踊り」(4)「連尺八」(5)「肥後へ」(6)「笠屋が舟」(7)「一人小娘」(8)「今年の稲」(9)「隣の殿」(10)「向江野火」(11)「あの山もと」(12)「おきよ坊主」があり、一庭踊るのには3種を組み合わせる。現在は(1)(9)(11)の組み合わせをよく用い、これをドッチュシ(6調子)という。霧島山ろくに伝える屈指の太鼓踊りだ。問い合わせはえびの市教委へ。





西長江浦大太鼓踊の写真
社前に陣取り、隊列を組んで踊る
(南方神社境内)


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