みやざきのうたと芸能101ロゴ 鹿川神楽

 
●諸厄を払い豊作願う
 青白のにぎてを枝に折りかけて 舞えばぞ開く天の岩屋戸
 山村における太陽復活の祈願であり、春待つ心がこの「神楽歌」に込められている。「鹿川岩戸神楽」を正称とするのは、天岩戸神社(高千穂町)から楠原(日之影町七折)を経て、1891(明治24)年、鹿川の集落に定着したからである。
 以来百余年、戦前・戦後を通じて一度も奉納を中止したことはない。現在は4代目に当たる鹿川愛護少年団も加わり、伝統の舞い方を習得している。
 神楽は集落の鎮守鹿川神社の「冬祭り」として、毎年12月第3土曜日から翌日にかけて奉納される。大祭1ヵ月前に上組・下組に分けて「祭り宿」を定め、連夜の足ならし(けいこ)に入る。神楽宿は別に定め、神楽世話人は大祭2日前に各戸から2人を出仕させ、男は御神屋づくり、女は神楽食の準備にかかる。前日一切を整えると「宵殿(よど)あげ」となり、神官が「冬祭り」を行うことを神に告げる。ここで、神楽奉納にかかわる役割分担が決まる。
 当日は神楽宿で昼食、「神迎え」の運びとなる。鹿川神社拝殿において「鎮守」「神下ろし」「杉登り」の式3番を奉納、「舞い出で」の儀を執り行い、神楽宿に舞い入る。これより氏子・参拝者がうちそろい「大座(おおざ)」となり、神酒をいただき夕食をとる。
 大座は集落固めの前祝いであり、一年の「仕事あげ」であると同時に、作神への感謝の座である。神楽を楽しむ人は、鹿川集落の一員として、この大座に加わる。
 山々が暮色に包まれるころ、神楽本番に入る。番付は33番、夜ながり(夜食)を挟んで、四方・五方を踏む格の正しい舞いぶりが披露される。番付の展開には呼吸があり、集落に神々を招く舞から、ともに神遊びする舞へと移り、集落の安泰を祈願、諸厄を払い、五穀の豊作を願う。
 それら中の圧巻は「岩戸7番」。自然の動きとともに、番付は壮大なドラマを繰り広げる。
 日之影町域ではおよそ30集落に神楽が伝わるが、夜神楽は深角系の大菅神楽、岩井川系の大人神楽と鹿川のそれである。
山 口 保 明
メモ
 日之影神楽の全容を知るには、神楽保存会連合体が主催する「神楽まつり」に参加するとよい。期日は4月下旬の日曜日。場所は青雲橋近くの町営神楽殿。11年度で13回を数え、各集落保存会が33番を分担して舞う。昼間の公開であり、神楽屋にあって、その雰囲気に浸るのが一番だ。問い合わせは日之影町企画課か、同町教委へ。





鹿川神楽の写真
熟練の古老がおごそかに舞う
「大神」


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