みやざきのうたと芸能101ロゴ 銀鏡神楽

 
●シシ献納し神に感謝
 天降る天降る高天原を通りしに 清しの浜で逢うぞうれしき
 祢宜(ねぎ)・祝子一同が列座して神楽歌を歌いつつ、「西之宮大明神」を迎える。降居(おりい)神楽と称し、最高の神格が与えられ、舞うのは宮司のみに許される。
 鎮守の銀鏡神社は、菊池氏ゆかりの懐良(かねなが)親王を祀り、親王を西之宮大明神とする説もある。西之宮を称するのは土地の霊山、龍房山東部に尾八重神社があり、東之宮と意識されていたからであろう。
 赤地の大明神面に毛頭、きらびやかな宝冠をいただき、長そでの着衣に大口ばかま、金襴(きんらん)の千早をはおり、太刀を帯び、後腰にはサカキ幣を差す。手にはトウノムチ(面棒)と扇子、アマの下三尺を離れず、おごそかに舞う。この間、参拝人は宝冠や装束めがけて「おひねり」(花)を投げ、思い思いの祈りを込めて合掌する。由緒ある祭神の出座である。
 注目は神前に供えられたイノシシの頭。かつては祭りのためのオニエの狩りが行われたが、今は猟師が1週間以内に捕ったものを献納する。
 シシは山の神からの授かりものである。本殿祭後に奉納する「狩法神事」(シシトギリ)を見ると、山里の暮らしの再現であると同時に、山の神・狩りの神への感謝の心が伝わってくる。
 男女二神をセコ(追い出し役)とマブシ(射止め役)になぞらえる。狩り行司役が加わり、捕獲するまでを地言葉を用い、おもしろおかしく演じて人々の笑いを誘う。古くからの狩猟の儀礼を伝えて貴重である。
 いま一つ、注目したい番付に民俗学者小野重朗が「田の神舞」の原型ではないかと指摘した「室の神」(しゃくし面)がある。そで長の着物、笑顔の白塗り面、手ぬぐいをかぶり、手には白幣と鈴。腰にはテゴ。その中にしゃもじ、すりこぎなど台所の用具を人れている。舞った後、用具を1つずつ取り出し、太鼓役、笛役と問答して見物人を笑わせる。この台所の神が平地神楽の「磐石(ばんぜき)」となり、作神楽の「直舞(ちょくまい)」や「田の神」となったという。
 銀鏡神楽の編成は33番。鵜戸神楽、鵜戸鬼神などの番付もあり、神楽史を考える上で好材料を提供。番付が物語を伴うのも特徴である。
山 口 保 明
メモ
 銀鏡神社の大祭は5日間続く。県内では最も長い。神楽は12月14日から翌15日にかけて、大祭宵殿(前夜祭)の位置づけで奉納される。同神社境内にシメだてして祭場とする。本殿祭を挟み、狩法神事を奉納する。問い合わせは西都市教委か同神社へ。





銀鏡神楽の写真
おごそかに格正しく舞う
「稲荷大明神」
(銀鏡神社境内)


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