みやざきのうたと芸能101ロゴ 門川神楽

 
●豊漁祈る恵比須信仰
 橘の小戸の禊(みそぎ)を初めにて いまも清むる我が身なりけり
 「鎮守」の舞いのときに歌う。門川神楽は海の神楽である。尾末神社の秋の大祭は、旧暦9月25日に行われてきたが、現在は11月初旬の休日。ここの祭りは、神幸随行の太鼓台で知られるが、神楽はその前夜祭。半夜神楽として奉納される。夜半までに舞い終わることだが、地元では「夜半式神楽」という。また、11月23日の門川神社の例大祭、1月7日の中山神社の縁日祭には式三番(三番神楽式)を奉納する。
 番付には「鎮守」を一番舞として、平手舞の「魔鬼よけ」、幣の手舞の「幣神随(へいかんずい)」、着面舞の「三番荒神」、弓を手にした「弓の舞」、矢を手にした「矢の舞」、日月を手にした「日月の舞」、着面舞の「笠(かさ)取荒神」、「沖恵(おきえ)」など動きの激しい十番がある。
 中でも「沖恵」は特別神楽などといい、重要な恵比須(えびす)の舞いである。恵比須信仰は民間に流布しており、生業を守護し福を招く七福神の一つ。狩衣に指貫(さしぬき)、風折れ烏帽子(えぼし)をかぶり、右手に釣りざお、左手にタイをいただく姿は、漁師にとっては豊漁祈願の対象。「沖恵」は「沖逢」「沖給」などと書き、県域北西部の夜神楽にも見られるが、沿岸部の神楽では恵比須神楽と称する。県南沿岸部では、「釣り面」「鵜戸舞」などと呼び、鵜戸の信仰を反映した着面の神楽である。
 門川神楽の沖恵は恵比須神楽を指し、素襖(すおう)に烏帽子、手に鈴や御幣を持つ願神楽。
 尾末神社の氏子はおおよそ700戸。船頭番と呼ぶ代表者が集まり、大祭のときには漁祭りを行い、「沖恵」を舞って豊漁を祈る。
 大ぶりな舞いで注目されるのが「三番荒神」と「笠取荒神」。大口ばかまに千早、覆(おい)毛に冠、手には扇とブチ(面棒)。腰幣2本を差し、力強く勇壮に舞う。舞い終わると子供たちが、ブチや腰幣を縁起物として奪い合う。「日月の舞」も印象に残る。高千穂神楽の「舞開」と同じ趣向で、鈴と日月を手に持つ。岩戸神楽の一つを織り込んだものであろう。門川神楽は尾末区鎮座三社の祭式神楽として、十分にその役目を果たしている。
山 □ 保 明
メモ
 尾末神社大祭神幸の先払いは、サカキの大幣を手にした猿田彦(さるたひこ)と鈿女(うずめ)の両神。旅所の海津見(わだつみ)社・蛭子(えびす)社では沖恵を奉納する。屋外を特設の神屋として舞う神楽もすがすがしい。門川港に集まっての漁祭りを「海津見祭」、または親しく「恵比須さん」とも呼ぶが、沖恵はここでも舞われる。 問い合わせは門川町教委か尾末神社、門川神社、中山神社へ。





門川神楽の写真
力強く反閇(へんばい)
を踏む
「三番荒神」


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