みやざきのうたと芸能101ロゴ ばんば踊

 
●「踊り念仏」が大衆化
 さればよいよいまず今晩は 広いお庭にやぐらをたてて 四方四面に万燈かざり まずご供養と申するようは……
 「ばんば踊り」の前口上である。広場に組み上げたやぐらに太鼓をつり、浴衣姿の太鼓打ちかばちをふるう。音頭取りは数人、太鼓に合わせ口説を歌いつぐ。やぐらを囲んだ踊り手が増えるにしたがって、踊りの輪が五重にも七重にも広がる。
 かつての延岡は、旧暦7月13目から16日が盂蘭盆会(うらぼんえ)。各集落に音頭取りの名手がいて、その名は領内各地に聞こえていた。名手のもとに弟子入りし、盆踊りの夜は美声を競ったものだという。
 大正の末ころ(70年前)までは、各集落で踊られており、遠くから太鼓の音が響いてくると、どんな遠くからも駆けつけ、踊りの輪に入った。山々を背景に浮かぶやぐらの明かり、その周囲に浮かぶ踊りの輪の風情が忘れられないと古老はいう。
 本来は新盆供養の踊りであったものが、時とともに架橋工事や護岸工事の折にも踊られるようになった。
 「ばんば踊り」の名称については、「馬場」で踊られたので、”馬場踊り”がなまったとするのが主流である。初盆供養を本来の姿とすれば、その踊りぶりから見ても「踊り念仏」が形を整え、大衆化したものと考えられる。時宗がもたらした芸能であるともいい得よう。
 江戸時代の中期、時の領主が人々を集め豊年を祝って踊らせたともいうから、雨ごいや水神供養ともかかわりがあるのであろう。
 踊りの主流は太鼓。打ち方には「流し」や「三段流し」などがあり、この調子に乗って音頭取りが雰囲気を盛り上げる。衣装は思い思いに調え、近来は着物・履き物を統一したり、仮装姿も登場する。組踊りは別で、「唐傘踊り」「四十七士」などがあるが、中でも人気のあるのは「団七踊り」である。2人姉妹のあだ討ちを踊り化し、各段によって手に持つ採り物も異なる。
 伝統の「ばんば踊り」は保存会が継承し、捨て難い伝統の踊りを市民とともに楽しんでいる。
山 口 保 明
メモ
 延岡今山大師の縁日は4月中旬、これを核にした「まつり延岡」や8月18日の「出北観音祭り」に踊り、今も根強い人気がある。盆の期間には、野口記念館広場においての盆踊り大会に「ひみこ会」「まがたま会」の保存会が、古き良き時代の「ばんば」の味を伝えている。同じ供養系の踊りでは、同市伊形の「花笠踊り」が注目され、8月16、17日の両日、公民館で踊られる。問い合わせは延岡市教委へ。





ばんば踊の写真
団七踊りは組踊りの中で、
もっとも人気がある。
(延岡市吉野町)


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