みやざきのうたと芸能101ロゴ 夏まつりなごし音頭

 
●厄払いに神社で奉納
 ハー日向灘から 朝日が昇る 昇りや霧島あかねさす
  ソリヤ ヤットコセ ヨーイヤナ(以下略)
 ハー橋は橘 流れは清く 小戸の阿波岐に真帆片帆
 ハー岬ならびの 青島さまは 地から生えたか浮き島か
 宮崎八幡宮に歌い継がれている「夏まつりなごし音頭」は、夏の風物詩として市民に親しまれている。
 なごしとは、毎年陰暦の6月晦日(みそか)に各神社で行われている「夏越しの払え」のことで、一年前半の厄難や病気を払い、大晦日までの後半をつつがなく過ごせるように、との古い習俗である。
 その際神社に奉納されるのがこの音頭で、間もなくの夏祭りの御神幸でも歌われている。
 そろいの法被にねじり鉢巻き姿の若者たちが、音頭取りの名調子に合わせて、「ヨイセー ハラセー」と掛け声も勇ましく御輿(みこし)をせり上げ、通りを練り歩く。汗にまみれての躍動的な光景である。唄(うた)ははやし言葉や節調から、「伊勢音頭」系のものと推測される。また伝統の音頭取りには、奈須美静や小八重惣三郎といった優れた歌い手が名を連ねていて、民謡道場の感がある。
 大淀川北部の宮崎八幡宮と同じように、南部の宮崎天満宮でも、氏子連が「夏まつり音頭」を歌い継いでいる。
 金のみこしの 色さえざえと 今日の御幸のめでたけれ
 さても見事な 鵜戸さんそてつ 花は咲かねど葉が見事
 こちらも威勢の良い音頭取りの声が夏空にはじけて、見物人の胸を高ぶらせる。
 両神社の祭礼日が重なることから、かつては御輿が鉢合わせして激しくもみ合ったり、流れを挟んで歌合戦を繰り広げたりと、何かと話題が多かったそうである。
 このほか宮崎市の恒久地区に「夏越しの唄」、青島地区に「夏祭り唄」、田野町と清武町に「浜下り唄」など、流域一帯に広く分布している。
 浜下りとは御輿が神社を出て里に下り、川辺や海辺で禊(みそぎ)を行う御輿洗いの神事のこと。一般に御神幸を指している。
 生活環境の変化に伴い、季節感が失われて行く中で、唄暦を大切に守りつづっているこれらの民謡は、一服の清涼剤と言うことが出来るだろう。
原田 解
メモ
 「夏まつりなごし音頭」の鑑賞音源としては、MRT宮崎放送製作の民謡CD「ふるさとの旋律を訪ねて」の中に、この唄の代表的な歌い手である故・小八重惣三郎の名唱が収録されている。また現在、地元の日向民謡保存会が中心になり、後継者の育成と保存に努めている。





御神幸行列の写真
掛け声も勇ましい
御神幸行列


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