みやざきのうたと芸能101ロゴ しゃんしゃん馬の唄

 
●鵜戸神宮の参拝描く
 「シャンシャン馬道中唄」と同じように、春の盛りに若い夫婦が、縁結びの神様である鵜戸神宮に参詣(さんけい)する情景を描いた新民謡である。
 道中唄(うた)の華やかで快い節調に比べ、こちらはのどかでゆったりした、パストラルになっている。
 日向七浦七峠 二日二夜の夢まくら 鵜戸の岩屋の神さんへ 若い夫婦がアリャサ
  神もうで
 日向七浦七峠 山は照る照る日のさがり 少し休もか木の蔭に 姿すんなりアリャサ
  飫肥の杉
 日向七浦七峠 越えてはるばる磯の崎 朱の玉橋手を取って 渡る岩屋のアリャサ
  神の宮
 どこか遠くから潮騒やウグイスの声が聞こえてくるような、「しゃんしゃん馬の唄」である。
 歌詞の内容や旋律などから、昭和の初めごろに創作されたものではないかと推測される。というのも当時の遊覧バス(現宮交)のガイドが、すでにこの唄を歌っていたことが、レコードによって証明されるからである。
 1937(昭和12)年夏に宮崎を訪れた田中梅子のエッセーにも、ガイドの美しい歌声が登場する。もちろん道中唄はまだ世に出ていない。そして戦後に作曲家の園山民平が、自著の「日向民謡101曲集」の中で「しゃんしゃん馬の唄」を取り上げたことから、再び愛唱されるようになった。その際彼は曲の由来について、鵜戸地方で古くから歌われていたものと説明を加えているが、恐らくこうした旋律が地元に残されていて、だれかが新しい詞を付けたのかも知れない。
 戦前の観光レコードでは、若い夫婦の鵜戸参りの道中を「あるいはウグイスの声に耳を澄まし、峠の松風に沖の白帆を数えたり、桃の花咲く浦伝い、浮かれる胡蝶(こちょう)に行く道を尋ねたりと、手に手を取り合っての新婚旅行は、とてもうれしい思い出であったそうでございます…日向七浦七峠二日二夜の夢まくら」と名文でつづり、ゆったりした歌声が続いている。
 日向七浦七峠 旅の疲れもわしゃ知らぬ
  かけた誓いはいつまでも 長い手綱のアリ
  ャサ 馬のせな
 新民謡の「しゃんしゃん馬の唄」は、日南海岸の風景にマッチした、夢とロマンを漂わせる美しい曲で、今も多くの人に愛され歌われている。
原田 解
メモ
 この唄の音源としては昭和10年にマーキュリーで吹き込んだ、「宮崎名所案内・遊覧案内」のレコードがある。レーベルには「シャンシャン馬の巻・宮崎遊覧バスガール松岡八重子」とある。また昭和30年代に初代コロムビア・ローズが同曲をコロムビア・レコードに吹き込んでいる。





鵜戸神宮の写真
若夫婦が通った鵜戸神宮


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