みやざきのうたと芸能101ロゴ じょうりかくしきねん棒

 
●砂の中から草履探す
 「おーい、じょうりかくしするよー」
 「やろう、やろう」
 ここは県北のある海沿いの町。どこまでも続く砂浜が子供たちの遊び場となっている。
 5、6人の子供たちが輪をつくった。
 「道夫、おまえもやろう」
 道夫は努のいとこだ。向かいの島から遊びに来ている。
 「はよ来んか、じょうりかくしすっとよ」
 だが、道夫はぐずっていて、輪に入ろうとしない。
 「だって…」
 「遊ぶのはいやか」
 努が道夫に近づき、問いただしてみる。
 「そんなことないよ」
 「だったら入れよ」
 「でも、歌が違うもん、きっと遊び方も違うと思う」
 「少しくらい違っていても、気にせんでいいが」
 努は道夫を輪の中に招き入れた。
 みんなは右足を前に差し出した。努が近くから拾ってきた棒ぎれで、歌に合わせてみんなの足を指していく。
 じょうりかくし きねん棒 橋の下のねずみが おじょじょをかくして
  チュッチュッチュッ
 棒は努の足で止まった。
 「なぁんか、おれが鬼か」
 努は、草履を脱ぎ、目をつむってしゃがみ込む。みんなは努の草履を近くの砂の中に隠す。
 「もういいがぁ」とみんなの声。
 努は目を開け、砂の中に隠された草履を探し回る。その草履を鬼が探し当てると、次の鬼に代わる。
 何回か繰り返した後、努が聞いた。
 「道夫、遊び方が達う?」
 「うん、遊び方は同じじゃけど、歌が達う」
 「へえ、どんな歌? 歌ってみよ」
 じょうりかくし かくれんぼうは なかんぼんは ボンボラボン ねずみの家は
  あんげして こんげして じゃんめした
 「うわぁ、おもしろいが。これからこん歌で遊ぼや」今覚えたばかりの歌で、子供たちの鬼遊びは西の山に日が落ちるまで続けられる。
高橋 政秋
メモ
 「じょうりかくしきねん棒」、いったいどんな遊びだろう。歌の採集地は北浦町の海辺。子供たちの遊び場は砂場。出し合った足をきねん棒と呼ぶ棒ぎれで歌に合わせて指していき、最後に指された人が鬼になり、タオルで目隠しをさせられる。その間に鬼の草履を砂の中に隠し、鬼に探させる、という遊びであった。砂浜と棒ぎれ、そこらのありふれた物をたくみに使い、組み込んだこの遊び、ここでも子供たちは遊びの天才なのであった。





じょうりかくしきねん棒のさし絵


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