みやざきのうたと芸能101ロゴ むかえのおさんどん

 
●大げさな身ぶり遊び
 東京からミチルが帰ってくるそうだ。智子たちは大喜び。あれはもう5年前になる。ミチルは智子と同じ年、一緒に小学校に入学した。
 だけど入学するとまもなく、ミチルは東京の学校に転校してしまった。お父さんたちが出稼ぎに行ったからである。
 4年生の時、ミチルたちが一度帰ってきた。智子はよしえを誘って、ミチルの家を訪ねた。
 でも何度呼んでもミチルは家から出てこない。返事もしないのだった。
 するとお母さんが出てこられて、「ごめんね、ミチルは言葉のことが気になるようでね、昨日男の子たちに、”東京ん言葉なんか使って、なんのまねやな”と言われたといって泣いて帰ってきたとよ。そして、ここの言葉と東京の言葉とどっちがいいのか、といって泣いているとよ」
 あれから3年の月日が流れた。そのミチルたちが家を引き上げて帰ってきた。おじいちゃんが亡くなったからだ。ミチルには、小さな弟と妹ができていた。智子たちは誘い合ってミチルを訪ねた。ミチルはすっかり大人びていた。だが、やはり寂しげだった。
 「ミチルちゃん、今おもしろい歌がはやっているとよ」
 「むかえのおさんどんというんだけど、身ぶりがついちょるとよ」智子たちは大げさに身ぶりをつけながらその歌を歌い出した。
 むかえのおさんどん 髪結うてたもらんか
  はんはんしょうで 鼻引きしょ
  みんみんしょうで 耳引きしょ
  かんかんしょうで 肩たたく しんしんしょうで 尻たたく
  てんてんしょうで お手たたく おーしまい
 最後は2人で向かい合い、パチンと手を合わせた。
 「どんなだった?」
 「おもしろいじゃろう」
 「ミチルちゃんも覚えないよ」
 しかし、ミチルは興味を示さなかった。無関心をかまえている。智子たちはすごすごと帰って行った。次の日のことだ。ミチルが2人の家を訪ねてきた。昨日の手遊びを教えてくれというのだ。あの時そばで見ていた弟たちが、あの遊びを教えて、と泣いているという。智子たちはその足でミチルの家へ駆けつけた。
 むかえのおさんどん 髪結うてたもらんか
 そこには昨日と打ってかわった真剣で楽しそうなミチルの姿があった。
高橋 政秋
メモ
 いつの時代も身ぶり遊びは人気が高い。この歌も変身の願望に通底するのか高学年でも喜んで楽しむ。おさんどんとは3時のおやつが転化して、おやつを用意してくれる人、お手伝いさんという意味になっている。身ぶりに決まりがあるわけではない。歌詞を頼りに自由に振り付けて遊んだらいい。学年や全校生での遊びにもふさわしい。





むかえのおさんどんのさし絵


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