みやざきのうたと芸能101ロゴ 猫ん子くれちくれんの

 
●身ぶりで鬼の気引く
 山深い椎葉の里、小さなお社の広場に子供たちが5、6人集まり、子もらい遊びにふけっている。片方に、子もらい(鬼)と見たてられた子が1人、片方に親猫に連れられた子猫が5、6匹。ニャオニャオと鳴きながら横一列に並ぶ。鬼(タオルをかぶっている)、前に進み出て
 「ごめんくださーい、猫ん子くれちくれんの」
親猫、一歩前に出て、「何食わせち、養うの」
鬼「麦んめし、茶かけて養うわの」
親猫「そんげな粗末なもんじゃやれんわの」
鬼「そんなら米ん飯、鯛(たい)の魚(ビビ)食わせち、養うわの」
親猫「そんならどれでん連れていきないよ」
 鬼が子猫の品定めをする。子猫たち、ニャオ、ミャオなど、それぞれの鳴き方をする。
鬼「こんとが鳴き声のかわいいき、こんとを連れて行くわの」
 鬼、子猫を連れて行き、またはじめから繰り返す。親猫が出す条件は、おもしろいものを工夫する。
鬼「ごめんくださーい、猫ん子くれちくれんの」
親猫「どんな着物着せてやるつもりかの」
鬼「木の皮のズボンにかずらで編んだ上着を着せるわの」
親猫「そんな粗末な着物なんか着せるとならやれんわの」
鬼「そんなら、絹の上着に絹のはかまを着せるわの」
親猫「そんなら、どれでん連れていきないよ」
 鬼が子猫の品定めを始める。子猫たち、鳴き声に、さまざまな身ぶりをして、鬼の気を引こうとする。
鬼「どれにしようかな」と言って、子猫1匹1匹の品定めをする。
鬼「あらー、この猫、踊りがうまいが、これを連れち行くわの」
 鬼が子猫の手を取り、連れて行こうとする。すると、それを見ていた別の子猫が、
子猫「あら? このおじさんには角が生えちょるよ、ほら」
と言って、タオルの中の角を指す。ほかの子猫たち一斉に近づき、鬼のタオルを奪い取る。
 そして、鬼じゃ鬼じゃと言って、鬼を押さえつける。鬼は「ごめんごめん」と言って逃げ回る。
 このあと、ジャンケンで鬼と親猫の役を決め、はじめからやりなおす。親猫や鬼のせりふは、おもしろく楽しい遊びになるよう、工夫する。
高橋 政秋
メモ
 親猫と子猫、その子猫を狙っている鬼との間で繰り広げられる問答形式の寸劇遊び。これはもともと野良遊びであるが、見る人にも人気が高い。教室や体育館のステージで行うとよい。低学年など劇の成り行きにすっかり同化し、「その人は鬼じゃよ、だまされちゃいかんよ」と立ち上がり、本気になって叫んだりする。





猫ん子くれちくれんののさし絵


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