みやざきのうたと芸能101ロゴ あずきあずき

 
●自由な問答に楽しさ
 ここは小さなお社の広場。秋の日暮れは早く、その短い時間を惜しむかのように、子供たちはさまざまな遊びを繰り広げる。だれが言い出すのか、この時期に決まってはやるのが、ゆうれい遊び「あずきあずき」である。この遊びはせりふの掛け合いで進んでいく。つまり劇の要素があるのが子供たちに好かれている理由である。それに、せりふが決まっているわけではなく、それぞれ自由な掛け合いで進んでいく。つまりアドリブで成り立つ遊びなのである。古いお社に杉やクスの大木、それに生け垣や石垣や石灯ろう。劇遊びの道具立てには事欠かない。まず鬼(実はゆうれい)を鬼決め歌で決める。
 青山暗いとき 黒い実が三つみつん そのあと ハイカラさんが ちゅうじ(靴)はいて
  はかまをはいて くるくるまわって ジャンケンポン
 鬼になった人は、輪の真ん中に目隠しをしてしゃがむ。ほかの子は手をつなぎ、鬼の周りを回りながら歌う。歌詞にふさわしい動作をしていく。
 (一同)あずきあずき ひとつ取ってみたら(しゃがんでいる鬼をなべに見たてて)
  まだ煮えちょらん(と手を横に振る。以下も、同様に身ぶりをする)もひとつ取ってみたら
  一同止まり、鬼とのやりとり。
 一同「おばさんのおうちはどこ?」 鬼「柳の木の下」 一同「今、何時?」 鬼「夜中の十二時」 一同「おばさんの着ているものは?」 鬼「白ーい着物」 一同「おばさんには足がある?」 鬼「足は、なーい」 一同「おばさんの好きな食べ物は?」 鬼「に・ん・げ・ん・の・こ・ど・もー」 一同「おばさんの名前はなんというの?」 鬼「ゆーれーい」 一同「わあーっ」と言って逃げ回る。鬼が追いかけ、つかまった人が鬼になり、初めから繰り返す。鬼との問答に、子供たちの自由な問いかけが組み込まれるところに、この遊びのおもしろさ、楽しさがある。意外性と創造性がこの遊びを支えることになるが、発表会などのステージで演じても確実に成功するようだ。子供たちが繰り広げた問答に次のようなものがあって印象に残っている。
・学校で一番好きなものは? ─給食
・行ってみたい所は? ─トムソーヤの小屋
・聞いてみたいものは? ─先生のおなら
・見てみたいものは? ─子供のころのお父さん
高橋 政秋
メモ
 こわいもの見たさ、子供たちにとってその最たるものはやはり〈ゆうれい〉。この遊びの中では女のゆうれいが主役。もちろん最初はやさしいおばさんとして登場する。最後の問い「好きな食べ物は?」までにさまざまな問いを積み重ねていく。その緊張感の高め方がこの遊びの勘どころとなる。





あずきあずきのさし絵


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