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 宮崎県は”太陽とみどりの国”、古代のロマンが息づいている土地柄である。山地・平地、それに東方に海をひらく沿岸の地には、多種多様の芸能が伝えられている。芸能はそれぞれの地域の民間信仰と結びついた、庶民の豊かな心の表象である。
 それでは、芸能が「なぜに」「どうして」多彩に分布し、舞い踊り継がれてきたのであろうか。人々はこの豊かな自然に生命(いのち)を託し、季節の動きとともに暮らしを営んできた。芸能の本質は「祈り」と「鎮め」にあろう。これは人間がもつ素朴にして真摯な願いであり、同時に避けがたい心の浄化でもあった。「われわれ意識」に支えられながら、共生の喜びを表現したのが芸能である。日々の生活の平安が約束され、人々を力づける。これこそが継承の理由である。何とすばらしいことではないか。
 県域には冬季奉納の山地夜神楽、春季奉納の平地昼神楽が伝承され、神楽の季節を二分する。予祝行事としての「田遊び」は県西南部に、風流(ふりゅう)芸能は県域すべてに分布する。なかでも「太鼓踊」と「棒踊」は顕著であり、また「盆踊」も盛んである。祭礼にともなう練りや御輿渡卸の供奉、大名行列も風流の一種で日向路の芸能に彩りをそえる。地芝居もまた、ゆかしい伝統の芸を披露しており、”ふるさと”への愛着を増幅させてくれる。
 宮崎県全域には、その数700余に及ぶ伝統の芸能が継承されている。そこには、伝来の暮らしの姿とともに人々の知恵・願望が秘められている。集落に伝えられてきた芸能は、さしずめ”暮らしの古典”として位置づけられよう。庶民が開花させた結晶である。
(山 口 保 明)

大人歌舞伎「義経千本桜」の写真
大人歌舞伎「義経千本桜」
(日之影町)

銀鏡神楽「シシトギリ」風景の写真
銀鏡神楽「シシトギリ」
(西都市)

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