所長挨拶 研究所の紹介 発表・調査研究 情報・ニュース 宮崎県感染症情報センター 見学と研修のお申し込み リンク集 お問い合わせ

情報・ニュース

GLPとは?

GLPは、Good Laboratory Practice の略で、「試験検査の業務管理」と訳されているものです。

一言で言えば、検査機関で実施される試験検査及びその結果の信頼性を確保するためのシステムであると言えます。

衛生環境研究所をはじめ、県の食品衛生検査機関(保健所や食肉衛生検査所)では、平成10年度から、すべての食品検査についてGLPに基づき検査を行っています。

ここでは、GLPの概要について御紹介します。

  1. GLPの歴史
    1960年代に世界各国で社会問題化した睡眠薬サリドマイドによる薬害事故を御存知だと思いますが、そもそもの発端は、この薬害事故であると言われています。
    この事件を契機に米国議会が新医薬品認可制度を査察し、試験検査等に重大な問題があることが判明し、米国食品医薬品局(FDA)は、試験検査の信頼性確保のためのGLPの法規制に取り組み、1979年に発効させました。
    日本では、1983年4月、医薬品の安全性試験についてのGLP基準が施行されたのが始まりです。

  2. GLP導入の背景
    当初、医薬品の安全性試験に導入されたGLPが、食品検査にも導入された背景として、第一に、食品流通の国際化があります。輸入食品は年々増加してきており、検疫所だけでなく都道府県等で検査する機会も増えてきています。
    次に、検査対象物質の増加と検査技術の高度化が上げられます。残留農薬や動物用医薬品等の理化学的検査、病原性大腸菌O157やサルモネラ等の微生物学的検査の検査項目が多様化し、検査件数も増加しています。また、定量検査では、ppm、ppb の精密なレベルの検査が必要になってきています。
    そして、検査業務管理及び精度管理の国際化ということも大きな要因になっています。

  3. GLP導入の経緯
    平成8年5月の食品衛生法施行令改正及び平成9年1月の食品衛生法施行規則改正により、平成9年4月1日から都道府県等が設置する食品衛生検査施設にもGLPが導入されることが決定されました。
    これに先立ち、指定検査機関は平成8年5月から、検疫所では平成9年2月からGLPが導入されていました。
    宮崎県では、平成10年4月1日から導入されました。

  4. 宮崎県のGLPの概要
    1. GLPの対象範囲
      食品衛生法第26条第1項の製品検査及び第28条に基づく収去検査が対象です。また、宮崎県の食品衛生検査施設としては、県内8保健所、5食肉衛生検査所及び衛生環境研究所、合計14施設がGLPの対象施設です。
    2. GLPの組織
      GLPの組織は、検査を実施する検査部門と検査の信頼性確保に係る部門から成り立っています。
      検査部門は、さらに理化学的検査区分、微生物学的検査区分及び動物を用いる検査区分の三つに分かれ、それぞれ検査区分責任者が選任されています。
      また、これら3区分を統括する検査部門責任者、そして検査部門から独立した試験検査の信頼性確保部門責任者が選任され、それぞれの役割が明確に分担されています。
    3. GLPの実際
      GLPの基本は、(1)各食品衛生検査施設が、試験検査の実施に当たって検査室の管理、試験品の取扱い、検査機器の保守管理、試薬等の調整、検査結果の処理等について文書化された基準を定め、常にそれを遵守すること、また、検査担当者の技能水準を確保し、検査の精度を適正に保つため精度管理を行うこと、(2)一方これらの実施状況が適正で確実に行われているか、信頼性確保部門による点検、確認を行い、必要がある場合には改善措置を講じることです。
      従って、各食品衛生検査施設では、試験品の採取、搬送から検査の実施、検査結果の通知に至るまで各段階の手順を定めた標準作業書(SOP,Standard Operating Procedures)や各種のマニュアルを作成し、その手順に従って検査を実施するとともに、各段階毎に必要な事項を記録し保管します。
      また、検査と併行して添加回収試験や陰性対照・陽性対照試験を実施し、再現性を確認したり、同一の試料(予め検査対象物質を含まないことを確認した食品に一定量の検査対象標準物質を添加したもの)を用いて、いくつかの検査施設で同時に検査し、施設間の変動や再現性を確認する等の精度管理を実施します。
      そして、信頼性確保部門によるこれらの記録の点検、確認や精度管理結果の評価等を行い、改善措置を講じる必要がある場合には、検査部門責任者に文書で報告します。その改善措置状況についても確認し記録を保管するのは、もちろんのことです。
      このようにして実施された試験検査及び得られた検査結果の信頼性は、客観的、科学的に保証されるものであり、このことが正に、GLPの意義であると言えます。

宮崎県衛生環境研究所
〒889-2155 宮崎市学園木花台西2丁目3-2 / 電話.0985-58-1410 FAX.0985-58-0930