ダイオキシン類は、工業等で意図的に製造されるのではなく、燃焼過程や化学物質の合成に伴って非意図的に生成してしまう化合物です。今では、ごくわずかですが自然界に広く存在しています。
当所では、河川や空気など環境中や焼却施設から排出されるダイオキシン類などの分析・測定を、特殊化学物質分析施設という建物で行っています。
今回は、誰もが一度は聞いたことのある「ダイオキシン類」について説明します。
ダイオキシン類の発生を減らし、環境汚染を防ぐための法律「ダイオキシン類対策特別措置法」では、次の物質のことを「ダイオキシン類」と定義しています。
- ポリ塩化ジベンゾフラン
- ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン
- コプラナーポリ塩化ビフェニル
ダイオキシン類の基本となる構造は、炭素6個でできているベンゼン環が酸素(O)を介して又は直接つながっているもので、つながり方の違いで3つに分類されます(図)。
1. 2. は、酸素(O)1つもしくは2つを介してベンゼン環が2つ結合し、数字のところに塩素(Cl)又は水素(H)が結合しています。3. はベンゼン環が2つ直接結合し、数字のところに塩素(Cl)又は水素(H)が結合しており、2個のベンゼン環が平面的な構造になっています。
それぞれ、塩素の数や結合している位置の違いから、たくさんの種類が存在します。1. は135種類、2. は75種類、3. は10数種類あります。
このように、「ダイオキシン類」とは同じような構造の200種類を超える化合物全体の総称のことなのです。
次回は、「ダイオキシン類の毒性」について説明します。