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平成30年度インフルエンザの流行予測

平成30年度 インフルエンザ抗体保有状況調査 −宮崎県−

感染症流行予測調査事業の一環として、2018/2019年のインフルエンザ流行シーズン前における県内の抗体保有状況調査を宮崎県健康づくり協会および県立宮崎病院の協力を得て実施した。
 調査では、9年齢群・250名(0〜4歳:59名、5〜9歳:16名、10〜14歳:25名、15〜19歳:24名、20〜29歳:42名、30〜39歳:25名、40〜49歳:26名、50〜59歳:17名、60歳以上:16名)から同意を得て、2018年7月2日から8月31日に収集した血清を対象とした。また、下記の4抗原(今シーズンのワクチン株)を用い、赤血球凝集抑制抗体(HI抗体)価の測定を行なった。

  1. Aパンデミック型:A/シンガポール/GP1908/2015(H1N1)pdm09
  2. A香港型:A/シンガポール/INFIMH-16-0019/2016(H3N2)
  3. B型:B/プーケット/3073/2013(山形系統)
  4. B型:B/メリーランド/15/2016(ビクトリア系統)
調査結果

感染防御に有効と考えられる40倍(1:40)以上の抗体保有状況は以下のとおりであった。
また、80倍(1:80)以上及び160倍(1:160)以上の抗体保有状況も併せて図に示した。

  1. Aパンデミック型:A/シンガポール/GP1908/2015(H1N1)pdm09に対する抗体保有状況
    10〜14歳群で比較的高い保有率(52.0%)を示し、5〜9歳群及び15歳〜39歳の各年齢群で中程度の保有率(28.0〜37.5%)であった。0〜4歳群及び40歳以上の各年齢群では比較的低い保有率(10.2〜18.8%)であった。
  2. A香港型:A/シンガポール/INFIMH-16-0019/2016(H3N2)に対する抗体保有状況
    10〜14歳群で比較的高い保有率(40.0%)であった。5〜9歳群及び15〜29歳の各年齢群で中程度の保有率(28.6〜37.5%)を示し、0〜4歳群及び40歳以上の各年齢群で比較的低い保有率(10.2〜17.6%)であった。30〜39歳群では極めて低い保有率(4.0%)であった。
  3. B型:B/プーケット/3073/2013(山形系統)に対する抗体保有状況
    20〜29歳群で高い保有率(64.3%)を示し、10〜14歳群及び50〜59歳群で比較的高い保有率(44.0%、47.1%)であった。15〜19歳群及び30〜49歳の各年齢群で中程度の保有率(34.6〜37.5%)を示し、0〜9歳の各年齢群及び60歳以上の年齢群で比較的低い保有率(11.9〜18.8%)であった。
  4. B型:B/メリーランド/15/2016(ビクトリア系統)に対する抗体保有状況
    40〜49歳群で高い保有率(61.5%)を示し、50〜59歳群で比較的高い保有率(47.1%)であった。10〜14歳群で中程度の保有率(36.0%)を示し、15〜39歳の各年齢群及び60歳以上の年齢群では比較的低い保有率(11.9〜16.7%)であった。0〜4歳群で低い保有率(8.5%)を示し、5〜9歳群では抗体保有率は0.0%であった。
コメント

2017/18シーズンは、全国の定点医療機関あたりの報告数のピークが2018年第5週に54.3になり、1999年の感染症法施行開始以来最高値となった。本県でも2018年第3週に定点医療機関あたり85.0になり、インフルエンザの流行のピークを迎えた。全国的に分離・検出されたインフルエンザウイルスはB型(山形系統)が最も多く、次いでAH3亜型、AH1pdm09亜型の順であった。また、本県で分離・検出されたインフルエンザウイルスは約4割がB型(山形系統)と最も多く、次いで、AH3亜型、AH1pdm09亜型の順となり、全国と同様の結果となった。

2018/19シーズン前の40倍以上の抗体保有率はAH1pdm09亜型、AH3亜型及びB型(山形系統)において前年度と比べ、全体的に低い傾向になっている。B型(ビクトリア系統)は前年度と比べ40〜59歳の年齢層で高い保有率を示しているが、その他の年齢層では大きな変化はみられなかった。

病原微生物検出情報によると、全国のインフルエンザウイルス検出状況は、AH1pdm09亜型が優位となっており、次いでAH3亜型、B型の順となっており、全国的にインフルエンザの流行シーズンに入った。本県でもインフルエンザの流行シーズンに入り、報告数が増加しているため、ワクチン接種や手洗いなどの予防対策をとることが重要である。


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