県広報みやざき
【特集】
森林を守る〜次世代へ残す緑の故郷〜
森林が私たちに与えてくれるさまざまな恩恵を知っていますか。森林(もり)の果たす役割にはどういったものがあるのでしょう。


森林が持つ特別な機能とは?

 宮崎県の森林面積は、県土の76パーセントにあたる約59万ヘクタールで、そのうち約36万ヘクタールがスギやヒノキの人工林です。
 森林は、生き物たちを育み、きれいな水や空気を生み、災害を防ぐなどの私たちの暮らしにかけがえのないものとなっています。
 具体的には森林が持つ公益的機能として次の4つがあります。

 今年の3月に開催された県民植樹祭

(1) 水源かん養機能
  木々が持つ保水力により、渇水や洪水を緩和します。また、水質の浄化も行います。
(2) 山地災害防止機能
  木々は大地に根を張っており、土砂などの崩壊を防ぎます。
(3) 生活環境保全機能
  森は二酸化炭素を吸収し、酸素をつくります。
(4) 保健休養機能
  森林は人間の気持ちをやさしくしてくれる特別な機能をもっています。

手入れの行き届かない森林が増加
 しかし、森林の現状は、さまざまな要因により昔とは変わってきています。
  昭和30年代から40年代にかけて、戦後の復興などのため木材が不足したことにより、全国各地で活発に植林(拡大造林)が行われ、県内でもスギやヒノキなどがたくさん植林されました。
  ところが、昨今の木材需要の低迷や、海外からの安い木材の輸入による林業経営意欲の減退、林業就業者の減少、高齢化などにより、手入れの行き届かない森林が増えつつあります。
  そのため、人工林を伐採した後に植林されない、いわゆる植栽未済地が、平成18年の調査で約2千ヘクタールあり、間伐などの手入れがされていない森林の面積は約4万ヘクタールあるといわれています。

大切な森林をわたしたちの手でよみがえらせましょう
 このため、大切な森林を守るための活動を今後も行っていく必要があり、行政と県民の皆さんが一緒になって森林保全に努めることが求められています。
 宮崎県では、平成20年度の重点施策として、植栽未済地対策をかかげ、
(1)既存の植栽未済地の解消
(2)新たな植栽未済地発生の抑制
(3)適正な伐採、植栽の指導体制の強化
(4)県民総力戦による森林づくりの推進などを総合的にすすめています。
  また、平成18年度に導入した森林環境税を活用し、県民の皆さんなどが行う森林づくりをサポートしています。


森を守るために必要な「森林環境税」をわかりやすく解説します。
「森林環境税」って何?
 さまざまな恩恵を与えてくれる森林を県民みんなで守っていく仕組みの一つとして、平成18年度から「森林環境税」を導入しています。
 税額は、個人が年額5百円、企業などの法人が年額千円から4万円となっており、平成20年度の税収は、約2億9,600万円を見込んでいます。

「森林環境税」はどんなことに使われているの?
 大きく分けて、県民の皆さんによる森林づくり活動などを支援するソフト事業と、水を蓄え、災害に強い森林づくりなどを行うハード事業の二つがあります。

ソフト事業の例
(1) 森林づくり応援団育成・支援事業(3,615万円)
  森林づくりボランティア団体などへの活動費の助成や苗木の提供、企業による森林づくり活動の支援などを行います。
(2) 森林環境教育推進事業(1,242万円)
    講師の派遣や教材の提供など、地域や学校で取り組む森林環境教育の支援、「川南遊学の森」での森林環境教育の実践活動を行います。
(3) 水と緑の森林づくり推進事業(320万円)
  「森林づくり県民ボランティアの集い」などを開催します。

 森林環境教育・ネイチャーゲーム

ハード事業の例

 広葉樹の植栽とシカ防護柵設置

花粉の少ないスギ苗木
(1) 水を蓄え、災害に強い森林づくり事業(2億2,277万円)
  水源地などの重要な森林を対象に、広葉樹の植栽や針葉樹と広葉樹が入れ混じった森林に誘導するための間伐などを行います。
(2) わが町のいきいき森林づくり推進事業(1,600万円)
  水源地などの重要な森林の市町村による公有林化を支援します。
(3) 荒廃渓流等流木流出防止対策事業 (2,500万円)
  流木の流出を防止するため、不安定な状況にある立木や、渓流などに堆積した流木の撤去を行います。
(4) 花粉の少ない苗木生産等促進事業(455万円)
  スギ花粉の発生抑制のため、スギ花粉の少ない苗木の生産や雄花着花量の多いスギの抜き伐りなどを支援します。

森林環境税や森林ボランティアに関するお問い合わせ
自然環境課 0985(26)7159

植栽未済地対策などに対するお問い合わせ
環境森林課 0985(26)7153
森林整備課 0985(26)7162