
本県では13年度末で204台の高性能林業機械が導入され、県内各地で主に皆伐作業を対象として稼働しています。
このようなことから、今回高性能林業機械を使用した皆伐作業の実態調査並びに高性能林業機械を利用した間伐作業について調査しましたのでその結果について報告します。
皆伐作業については22事例について調査しました。
その作業システムは、表-1のように架線系+車両系、車両系、架線系の3つに大別できます。
表ー1主な作業システム
それぞれタイプ毎の具体的な機械の組み合わせは、図-1のとおりです。
○架線系+車両系


○車両系
○架線系
図ー1機械の組み合わせ
それぞれのタイプ別の生産コスト、1m3当たりの収益、労働生産性は、図-2のようになりました。
生産コストは、車両系(タイプ5)が最も低く、架線系+車両系(タイプ1〜タイプ4)、架線系(タイプ6)は高くなりました。
1m3当たりの収益は、架線系+車両系の場合タイプにより大きな差が生じていますが、全体的に見ると車両系(タイプ5)の収益が最も高く、次いで架線系+車両系、架線系の順で低くなっています。
労働生産性は、車両系(タイプ5)が最も高くなっています。
此処での車両系とは、既設道上からグラップルでの掴み出しやウインチでの引き出しによる集材であって、林内を縦横に走行して集材するものではありません。
生産コストを構成する内容の比率は、図-3のようになっています。
これによると、直接費の作業労務費(25.5%〜39.1%)と機械損料(23.3%〜42.1%)の2つでほぼ半数以上を占め、次いで間接費の材運搬費、市売り手数料となっています。

図ー2生産コスト等

図ー3生産コストの構成内容比率
高性能林業機械を利用した間伐作業の調査は、表-2のような9タイプの調査区を設けて行いました。それぞれの調査件数は1件です。
表ー2間伐のタイプ
タイプ別の間伐実施状況や作業システムは、表-3、表-4のとおりです。
表ー3間伐の状況
表ー4作業システム
間伐林分は、スギ29年生と39年生の人工林で、本数で22.9%〜45.5%、材積で22.2%〜40.4%の間伐を行いました。
これらの生産コストや1m3当たりの収益、労働生産性は、図-4、生産コストの内容構成比率は、図-5のようになりました。
生産コストを見ると、定性区が高く列状区が低くなりました。また、定性全幹区ではアクシデントの為、コスト高になりました。
1m3当たりの収益をみると、11年度調査の列状区と定性区、12年度調査の定性全幹区がマイナスとなりましたが、11年度調査の場合はロットの関係、12年度調査の場合は、アクシデントや素材単価が低かったこと(A品が少い)が影響したものと考えられます。
労働生産性は定性区が低く、列状区や列状定性区が高くなり、また、全幹区と短幹区では全幹区が高くなりました。
生産コストの構成内容の比率を見ると、直接費の労務費が26.5%〜42.4%、機械のリース料が8.2%〜12.8%で多くを占め、次いで間接費の機械運搬料、材運搬料、各種保険料、椪積み料となっています。
図ー4生産コスト等

図ー5生産コストの構成内容比率
集材作業地の状況は、表-5のように20度〜32度の傾斜地で全て上げ荷でした。
タワーヤーダ(スイングヤーダ)が1回の集材に要する時間(サイクルタイム)は、図-6、1サイクルを構成する作業単位の構成比率は、図-7のようになりました。
列状区と定性区を比較すると列状区が小さく、短幹区と全幹区を比較すると短幹区が小さくなりました。
表ー5集材作業地の条件等
図ー6タワーヤーダのサイクルタイム
図ー7サイクルタイム構成内容の比率
また、12年度調査の魚骨短幹区から定性全幹区までのサイクルタイムに比べ、13年度調査の定性処理区、定性対照区は小さくなっていますが、作業者が2年目となり機械操作に習熟してきたことが影響していると考えられます。
サイクルタイムの構成内容を見ますと、横取りのため索の引き出しと玉作や玉掛けに要した荷掛け作業が最も多くを占め、次いで、横取り材を引き込む荷上げ作業、材を吊した搬器が先山から土場まで移動する実走行の順になっています。
ハーベスタが1本の材を処理する時間(サイクルタイム)及び1サイクルタイムの構成内容の比率は、図-8、図-9のようになりました。
ハーベスタのサイクルタイムは、334.4秒〜549.8秒の平均383.3秒でした。
サイクルタイムの構成内容を見ますと、椪積みと造材が多くを占め、次いで末木枝条の整理となっています。

図ー8ハーベスタのサイクルタイム

図ー9サイクルタイム構成内容の比率
また、タワーヤーダとハーベスタのサイクルタイムを比較したものが、図-10です。
いずれの場合にもタワーヤーダの方がハーベスタより大きくなっています。
このことは、タワーヤーダで集材しながらハーベスタで同時に造材していく方法ではハーベスタに遊び時間が生じ、機械本来の能力を十二分に発揮できないことを表していると考えられます。
図ー10サイクルタイムの比率
今回の調査結果等から、本県では皆伐、間伐を問わず、図-11のようなシステムが適していると考えます。

図ー11推奨作業システム
即ち、できるだけ搬出路の方向に向けて伐倒し、グラップルやウインチでの集材を先行させて、残りをタワーヤーダで集材する一方、プロセッサで造材していくのが好ましいと考えます。
また、容易に集材するには、路網の整備を進め、グラップルやウインチでの集材範囲を増加させることが労働生産性の向上、生産コストの低減化にとって肝要と考えます。
間伐方法については、路網が整備されグラップルやウインチでの集材が可能な位置にある林分については定性間伐、そうでない林分については、列状間伐、又は列状間伐の列間に定性間伐を加えた間伐が適切と思います。
最後に、今回の調査件数がまだ少ないことから問題点も多数含んでいるとは思いますが、今後の林業経営にとっての参考資料としてこれが活用され、役立つものになれば幸いです。