
本県の人工造林面積は、昭和30〜40年代の最盛期には1万haを超えていました。その後50年代に入ると急激に減少し、近年は1千ha台で推移しています。内容的には、天然林を伐採した跡に人工林を造成する拡大造林が減少し、人工林を伐採した跡に植栽する再造林の割合が増加しています。また、スギやヒノキなどの針葉樹以外にも、いろいろな種類の広葉樹が造林されています。
造林は林業の出発点であり、基本となるものです。時代とともに内容は変化してきましたが、今でも宮崎県内で最も多く植栽されているのはスギです。
今回はこのスギについて、造林の前段である苗木養成における新しい取り組みを紹介します。
本県では、昔から造林用のスギの苗木は挿し木によって生産しています。しかし、挿し木用の穂を採取する母樹は老齢化しており、また再造林面積の増加など、将来的には苗木不足になることが予想されます。今後、スギの造林を円滑に行っていくには、苗木生産を効率化し安定的に供給していく必要があります。
そこで将来の苗木不足を解消し、機械化にも対応できる育苗方法として目をつけたのが、小型挿し穂による苗木生産です。当センターでは、平成8〜12年度において「再造林に関する研究」として、小型挿し穂による育苗試験を行いました。その後、実証試験を経て、現在、実用化の段階に入っています。
スギの挿し木は、通常、長さ40〜50cmの挿し穂(以下、通常挿し穂といいます。)を使いますが、小型挿し穂はこれを約半分の大きさの20cmで行います。全国的には東北地方では20cm程の挿し穂を使うところもあるようですが、本県では一般的ではありませんでした。
では、通常挿し穂と小型挿し穂では、具体的にどのような差があるのでしょうか。表−1に比較したものを示しました。小型であることによる短所もありますが、それ以上の長所をあげることができます。

【長所】
【短所】
これまで、穂の長さが短いと、造林用苗木の規格の大きさにするまでに時間がかかり、苗畑の効率も悪く経費がかさむのではと考えていました。確かに、生産コストは育苗期間が長くなる分増加しますが、挿し穂の枯損が少ないため得苗率がよいこと、自家養成母樹により穂木代の削減が可能になることなどにより、最終的に苗木1本当たりの生産経費では、通常挿し穂以下に抑えることができるようになります。また、穂木採取が容易なことや床替え作業の機械化など作業の効率化、作業環境の改善を図ることが可能です。
造林用苗木の条件としては、品種系統がはっきりし、規格に合っていること、二又や曲がりがないこと、根がかたよらず十分発達していること、病虫害にかかっていないことなどが必要です。これらの条件を備えた苗木は、優良苗木として植え付け後の活着や生長が期待できます。小型挿し穂による苗木は、これらの条件を十分クリアできるものです。
前述したように、小型挿し穂による苗木生産は、試験段階を過ぎて実用化に入ってきています。H農園では今期3万本を育苗しており、県内の他の生産者にも普及しつつあります。



育苗方法の違い