林技センター情報:No.28(2006年1月)より
スギポット苗の通年植栽の可能性(育林環境部 岩切 裕司)
1 はじめに
林家の多くは林業以外に農業にも従事しており、春期はこれらの作業が重なるため人手不足が予想される時期です。そこで、労働力不足等の解消のため、活着が良く一年を通していつでも植栽できる、スギポット苗の通年植栽試験を行いましたので紹介します。
2 スギポット苗通年植栽試験
- 方法
北諸県郡三股町と東臼杵郡西郷村のスギの伐採跡地に、毎月スギポット苗を月初めに植栽し、その後、毎年枯損調査や樹高測定を行いました。また、三股町試験地では、スギポット苗と通常苗の生長の比較調査を行い、西郷村試験地では、スギポット苗及び通常苗の植栽作業をビデオに撮影し、功程調査を行いました。
- 結果と考察
植栽木の1年目の平均生存率は、三股町試験地96%、西郷村試験地98%と、通常苗の活着率(80〜90%)に比べ、両試験地とも高い生存率でした。また、林野庁の試験では通常苗の8月植栽の活着率が、28%という報告があります。両試験地の8月の生存率は、三股町試験地99%、西郷村試験地97%と盛夏においても活着が良いことが分かりました。
次に、樹高生長は、各月の植栽日数が異なるため、三股町試験地1,825日、西郷村試験地1,095日時点で比較しました。その結果は、両試験地とも植栽月によって生長に差がありましたが一定の傾向はなく、特に問題のある時期はありませんでした。
ポット苗と通常苗について、三股町試験地内の4月植栽木(6年生)3カ所を比較したところ、平均樹高は、ポット苗417cm、通常苗I 428cm、通常苗II
395cmと、生長にばらつきがみられましたが、統計的な差はありませんでした。
以上のことから、スギポット苗は通年植栽が可能で、6年生までの生長に関しても問題がないことが分かりました。
ただ、スギポット苗の植栽功程は通常苗に比べ、ha当たり26%(2.5人増)多くなりました。ポットを外す作業や運搬作業等に時間を要することから、立地条件が悪い場合は、さらに功程が悪くなると考えられます。
3 最後に
スギポット苗は通年植栽が可能であることは分かりましたが、コスト面では、まだまだ問題があります。今後はコストを下げるため、ポットの改良や植栽功程の効率化等を図っていきたいと思っています。
(写真:三股町試験地のスギ6年生)
(写真:ポリポット苗 ポットをとったところ)