
自然栽培による原木シイタケ生産者を悩ます問題として、榾木の害菌・害虫被害やシカ、野猿等の野生獣による食害等があります。
特に、しいたけの発生がみられる秋から春先にかけては県内各地から野生獣、中でも野猿によるシイタケ被害の報告が多く聞かれます。
また、昨年は県内各地で野猿による農作物被害の記事が紙面で取り上げられるなど、多くの農林家に打撃となり防除対策に頭を悩ませることとなりました。
そこで今回、シイタケの野猿被害について、近年の県内の被害状況やその防除対策についてお話いたします。
まず、近年の県内での有害鳥獣(野猿、シカ、イノシシ、鳥類など)による農林産物被害を図−1に示しました。
平成14年をピークに有害鳥獣による農林産物被害は減少傾向にありますが、野猿被害については、横這いから増加傾向にあります。 平成16年度でみますと、全体の被害額は約2億円で、そのうち野猿による被害額は約4千万円となっており、全体の約2割を占めています。
次に、シイタケ栽培における被害はどうでしょうか。これまでシイタケ被害が報告されている野生獣(イノシシ、シカ、野猿)の被害について図−2に示してみました。
平成15年度に全体の被害額は一旦は減少しましたが、翌年より再び増加してきています。
また、イノシシ、シカによる被害額は年々減少傾向にある一方で、個体数が増加しているとされる野猿被害は増加傾向にあり、平成17年度には全体被害額の9割以上を占めるまでになっています。
では、どのような野猿対策がとられているのでしょうか。大きく分けて二とおりの方法があります。一つは、捕獲・狩猟による直接的駆除法と、もう一つは、ネットや網による榾場囲い込み及び犬や道具による追い払い等の被害防除法です。
前者は、自然保護の観点や心情的問題等から、当対策法のねらいである野猿の個体調整策は進まない状況にあります。また、後者についても、数多くの防除ネットや電気柵が開発されてはいますが、原木シイタケ栽培現場の多くが急峻な地形の上に、榾場に立木が介在する等の条件下にあり、上方からの野猿の侵入を防ぐ方法を講ずるには、コスト及び施工性に大きな問題があるとされています。
このように被害対策について、いろいろな取組がなされてきていますが、最終的には人間とサルとが共存や棲み分けの可能な山村及び森林にしていく方法を摸索していくことが、最も重要になってくると思います。
原木シイタケ栽培現場において、生産者が奥地林内に点在する榾場を眼のとどきやすい民家近くに集約し、他の農作物と併せて守っていくことも一つの方法として考えられるのではないでしょうか。