
当センタ−では再造林放棄地の実態調査を行っています。その中で、都城市内の霧島山系の麓に、ネザサの繁茂する放棄地を数箇所確認しています。ネザサは温帯性ササ類に分類され、中部以西の各地に広く分布し、萌芽性があり、その再生力は旺盛であるとされています。
一般にササ類が密生すると他の植物の侵入が抑制され、種構成が単純化したり、旺盛な繁殖力と強い適応性をもっているため、森林の更新を妨げると言われています。
そこで、ネザサの侵入が他の植生や土壌の化学性に及ぼす影響を知るため、放置されて6年経過した再造林放棄地内のネザサの侵入状況(写真1)と林床植生及び表層土壌のpH、カルシウム等の交換性塩基などの化学性について調査を行いましたので、その概要を紹介します。
ネザサの桿密度は320〜430本/平方メートルで平均して350本/平方メートルと多く、その高さは0.4〜1.8メートルで葉が重なり合っていました。 林床には、ネザサ以外の植生は全く見られずネザサの葉や前生樹のものと思われる腐植が厚く堆積していました。
林床植生が見られなかった原因として、厚い腐植層や、高密度に繁茂したネザサによる極端な照度低下により、他の植生の侵入、定着、生育が難しかったためと考えられました。
pHは表層から深さ15センチメートルまで5.7〜5.8で、隣接するスギ林とほぼ同様な値を示しました。また、交換性カルシウム、マグネシウム及びカリウムの含有量はスギ林と比べ、ほぼ同じかやや高い傾向がみられ(図1)、表層土壌は肥沃であるといえます。
この原因として、腐植からの塩基の供給、また、他のササ類では表層土壌での養分の循環機能が優れているとの報告もあり、ネザサでも同様の機能を有する可能性も考えられます。しかし、現段階では明らかではなく、今後、これらの点については、詳しく調査を行う予定です。
ネザサの林床には他の植生が見られなかったことから、この地域の本来の自然植生へ移行させるためには、密度の管理等が必要と考えられます。また、ネザサの桿の寿命は3〜4年とされていることから、放置された場合、萌芽や再生がどのように変化するのか、さらに、他の植物生態系や土壌の化学性に及ぼす影響について、今後検討を進めていきたいと考えています。