
木材の価格低迷、林業労働者の高齢化・不足等から人工林を伐採した跡地に再造林を行わない、いわゆる再造林放棄地が拡がりつつあります(写真−1、2)。このような再造林放棄地が拡大すると、森林資源の減少ばかりでなく、土砂流出、斜面崩壊等の危険性が大きくなることが懸念されます。
そこで、当センターでは、平成16年度から九州大学、九州各県と共同で「再造林放棄地の水土保全機能評価と植生再生手法の開発」というテーマで再造林放棄地の実態等を調査しています。ここでは、研究の概要について紹介します。

写真-1 再造林放棄地(伐採後8年経過)

写真-2 広葉樹の侵入状況
最近、林業分野でも人工衛星を利用した調査・研究が多く行われるようになっています。
当センターではイコノス衛星が撮影した写真(解像度1m)を使って、森林の林相区分等に利用できないか検討を行っていますが、本研究ではランドサット衛星の画像解析(解像度30m)から伐採地を探索して、その位置を把握することとしています(図−1)。これには人工衛星で伐採地を正確に探しだせるか、また、探した伐採地の位置や面積が正しいかの検証も行っています。なお、期間は1998年〜2002年末までの5年間に伐採されたもので、その面積は0.5ha以上の箇所を対象としています。

図-1 地形図への解析結果のプロット
(黄色は期間の前半、赤は後半に伐採されたと思われる箇所)
人工衛星の画像解析から、本県では5年間で、2468箇所が伐採された可能性があるとのデータを得ました。伐採位置の精度をみるために、西郷村の102箇所を対象に2001年及び2004年に撮影された空中写真で伐採の確認を行い、不明な箇所については現地確認を行いました。その結果、明らかに伐採していないのは4箇所、伐採の位置が多少ズレているのが4箇所、残りの94箇所は伐採されていました。伐採されていない4箇所については田畑であり、作物の有無によるものと思われました。位置ズレを含めて、98箇所が伐採されたと確認され、全体に対する比率でみると96.1%が把握できたことになります。すなわち、ランドサット衛星画像解析は十分伐採調査に利用できると考えられました。
抽出された2468箇所の概略的な調査は森林組合の協力を得て行いました。国有林の491箇所を除外した残りの1977箇所を対象に、伐採の有無、植栽の有無、伐採年、林小班(位置)等について調査しました。その結果、伐採され再造林が行われていたのは804箇所、開発(施設、道路開設)などで伐採が行われているのが256箇所、伐採が行われていないのが242箇所、現段階で造林されていない再造林放棄地が350箇所、また、場所や伐採がわかない不明なのものが325箇所でした。
再造林放棄地をみると、その分布は県南部で少なく、一ツ瀬川〜五ヶ瀬流域の県北部で多く(図−2)、件数割合で全体の83.9%を占めていました。再造林放棄地の合計面積は約640ha、1箇所当たりの平均は1.86haとなります。面積別の箇所数をみると、0.5〜1.0haが190箇所(54.2%)、ついで1.0〜2.0haが72箇所(20.6%)と多く、10haを超えるものも6箇所ありました。また、再造林放棄地の中には植栽はされたものの、獣害により全滅し、そのまま放置状態の箇所もみられました。今後、このような造林地が増加する可能性が高くなると思われます。
今回の調査で、325箇所の不明箇所があり、これらの詳細な調査を進めると、再造林放棄地の箇所数はさらに増加すると予想されます。

図-2 再造林放棄地の分布
本年度から個々の再造林放棄地の本格的調査を開始します。具体的には、どのような樹種構成になっているのか(先駆樹種、郷土樹種)、前生樹種の伐採・集材方法、路網配置、土壌の表面浸食の状況、林地崩壊の有無、周囲の林況など詳細な調査を行う予定です。