
スギ素材市場で品種が考慮される例はあまりありません。これは、枝葉のない丸太だけでは品種の特徴が分かりにくいため、品種と市場価値の関係が不明瞭なままになっている点が要因の一つと考えられます。そこで、DNA分析を利用してスギ丸太の品種を正確に特定する技術を検証しました。
試験地に放置した丸太から定期的に内樹皮を採取し、DNAの抽出収量を調査しました。4月に伐採した場合、丸太を放置して1ヶ月間はDNAが正常に抽出できましたが、2ヶ月以降は穿孔虫類の影響で内樹皮の採取量が減少したため、十分な抽出はできませんでした。これに対し、12月に伐採した場合は、丸太放置から4ヶ月が経過しても、分析に利用できる程の収量が得られました(図-1、2)。
DNAは糸状の構造をしていますが、多くの箇所で切断・分解されている場合は、分析への影響が考えられます。4月に伐採した場合、放置1ヶ月間はDNAバンドが得られましたが、2ヶ月が経過した頃から明瞭なバンドが検出できなくなりました。一方、12月に伐採した場合は、放置4ヶ月が経過してもDNAバンドへの影響は少なく、品種識別は可能でした(図-3)。
以上のことから、伐採してから1ヶ月以内の丸太であれば、ほぼ正確な結果が得られることが分かりました。市場に流通しているズキ丸太(生材)の多くは伐採から1ヶ月以内といわれていますので、それらを対象としたDNA分析は可能と考えられます。実際、木材加工場に搬入されたスギ丸太12本をDNA分析したところ、すべてにおいてDNA型を特定することができ、一部は既存データから品種名まで分かりました(表-1)。今後は、さらにDNA型のデータを蓄積し、スギ材の品質管理に役立てる計画です。

図-1 スギ丸太からの樹皮採取

図-2 DNA平均収量の推移

図-3 DNAバンド写真の比較(黄色矢印が識別に使用するバンド帯)

表-1 流通丸太のDNA分析結果