
最近、菌床シイタケ栽培施設において、虫害による被害報告が多くなっています。
原因としては、不健全になった状態の菌床から発せられる発酵臭に寄せられた各種の虫が、施設内での環境条件が良く、施設内で産卵→孵化→羽化を繰り返し大発生に繋がると考えられます。
今回は、県内の栽培施設において発生した害虫の事例等について紹介します。
平成15年夏季、県内菌床シイタケ生産者の発生ハウス内で害虫(写真1)が多数発生し、子実体の食害等の被害が発生しました。成虫は子実体のマクやヒダ部に産卵し、孵化した幼虫が子実体を食害します。幼虫に気付かずパックしてしまい、市場段階でクレームがついたこともあったようです。観察の結果、ナガマドキノコバエ(Neompheria ferruginea)と同定され、成虫捕殺のために捕虫器及び誘因剤による防除効果試験を行いました。

写真1 左:成虫 右:幼虫
光誘引粘着捕虫器(青色光)、誘引剤としてブレスメル及びカルピスの成虫捕殺効果試験を行いました(写真2)。今回は、光誘引粘着捕虫器による捕虫効果はあまり得られず、誘因剤として、特にカルピス2倍希釈液と中性洗剤の組み合わせによる防除対策が有効であることがわかりました。

写真2 左:光誘引粘着補虫器 右:誘引剤(左:ブレスメル 右:カルピス)
菌床シイタケ栽培では、今回の害虫以外にも、クロバネキノコバエやガガンボといった虫が害虫としてあげられます。基本的には、培養段階から健全な菌床を製造し、発生段階でも菌床の健全性を保つこと、傷んだ菌床及び廃菌床は速やかに処分すること、栽培環境の清浄度を上げることが第一です。併せて、予防対策として、防虫ネットによる栽培施設の被覆により虫を施設内に入れないようにしたり、施設内で害虫発生が見られたとしてもできるだけ増やさないように、今回の試験のような誘引剤や光誘引粘着捕虫器、各種粘着シート、ファン付捕虫器(写真3)による成虫捕殺、浸水による幼虫捕殺などの対策を講じることが必要と考えます。

写真3 ファン付捕虫器
写真4は、「ムラサキアツバ」という虫の幼虫です。菌床シイタケにとって比較的新しい害虫で、菌床表面の褐変した被膜を囓りとって食害します。成虫は年2回5〜9月にかけて発生することがわかっていますが、今のところ防除対策は検討中です。このように新しく害虫化する虫も現れています。

写真4 ムラサキアツバ
菌床シイタケ栽培における害虫の発生は、収量低下のみならず品質低下の原因となり、収益に大きく影響します。しかし、害虫を防除、殺虫するために薬剤を使用することは、食品としてのイメージを低下させてしまいます。シイタケは自然食品、健康食品として近年、特に脚光を浴びており、消費者に対し安全・安心をPRできる栽培方法で提供しなければならないと考えます。