
日向農業協同組合(以下、JA日向)菌床椎茸部会では、県北地域の標高差を利用して簡易ハウスでの秋〜春発生型栽培を中心に品質の良い菌床シイタケ生産を行っています。
JA日向では、菌床製造工程のうち培養初期(約1月間、一次培養)までを東郷町にある菌床培養センターで行い、追培養(二次培養)からシイタケ栽培工程を各生産者の施設(ハウス等)で行う方式をとっています。
多額の設備投資を必要とする部分をJA日向で整備することや、菌床を完熟状態ではなく初期培養状態で生産者に安く提供することで、生産者の金銭的負担が軽くなるというメリットがありますが、反面、追培養段階での菌床仕上がりに生産者間で差が生じ、そのまま収量に影響する可能性があります。
特に、秋〜春発生のための夏越しのハウス内追培養では、猛暑等によるハウス内の温度上昇で菌床の高温障害が起こり、子実体の発生不良や収量減、菌床劣化等の問題がありました。
そこで、今回、夏季ハウス内追培養中の菌床への直接散水による効果の検証を行いましたので紹介します。
菌床は、JA日向菌床培養センターで平成16年5月14日に製造し、北研 607号を接種、約40日間・20度で一次培養されたものを用いました。
当センター菌床ハウス内において、散水区及び無散水区の試験区を設け、それぞれ6段積み栽培棚の上から1段目(上段)、3段目(中段)、5段目(下段)とし、自記記録計のセンサーを菌床中心に差し込み、1時間毎に記録しました。散水区は、毎日10時〜16時(6時間/日)の連続散水を行いました(写真-1)。また、9月24日から両試験区とも発生処理を行い、収量比較試験(約6ヶ月間)を行いました。

写真-1 散水試験状況
記録した温度データを、月毎更に時刻毎に平均値を求めグラフ化しました(図-1)。無散水区は外気温及びハウス内温度の上昇に従って菌床内温度が上昇し、30度を超えていますが、散水区では菌床への直接散水による菌床内温度上昇の抑制効果はあきらかで、菌床の褐変化も無散水区に比べてスムーズでした(写真-2)。
また、無散水区では、追培養中の早い時期に高温障害と考えられる菌床の劣化症状が確認できました(写真-3)。
更に、収量比較試験において(写真-4)、1菌床当たりの収量は、散水区=889.8±72.4g、無散水区=766.0±55.9gとなり、比較検定結果でも有意差が認められました。
以上のことから、夏季ハウス内追培養中の菌床への直接散水は、菌床内温度の上昇抑制、褐変化の進行促進、収量安定に効果があることがわかりました。

図-1 夏季ハウス追培養中の菌床等温度変化

写真-2 褐変進行状況(左:散水区、右:無散水区)

写真-3 菌床の高温障害

写真-4 収量比較試験状況
近年の生シイタケ市況は、輸入物や産地間の競争激化により厳しさを増していますが、GAP(適正農業規範)や国産安心きのこ認証の動きなど、消費者の安全・安心な食への関心が特に強まっている今こそ、国産、宮崎県産シイタケの品質、安全性等をPRできる産地づくりを、生産者やJA及び行政、普及、研究機関の連携のもと構築していきたいものです。