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宮崎県林業技術センター

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林業みやざき:(2001年4・5・6 月)より

広葉樹造林地はどうなった?(育林環境部 讃井孝義)

○広葉樹を植えようとはいうものの

マツクイムシの被害量は減少気味とはいっても、相変わらず被害が激しい場所もあります。そのため樹種転換の意味もあって、広葉樹を植えることがあるようです。さらに近年、スギ・ヒノキ一辺倒の造林を見直し、多様な森林を造成しようという気運が高まり、広葉樹を植栽することも多くなっています。ところがなぜか、植えられた広葉樹が成林している所はそれほど多くないようで、一面の原野になっている所もあります。その原因はいくつか考えられます。今のところ、その最大の原因はシカなどの獣害とされています。本当にそうなのでしょうか? 探ってみました。

○シカのせいは濡れ衣? では悪いのは?

植栽された広葉樹の成林がなぜ難しいのか、苗木の形質が低下したり、枯れてなくなる原因は何なのかということを調べています。広葉樹新植地で調査区画を作り、いま二年がたったところです。樹種にもよりますが、成林しない最も大きな要因は、意外なことに人間の仕業でした。下刈時の誤伐です。選定した調査地はススキが多く、樹種によってはそのなかから造林木を見つけるのが困難な場合があります。さらにシカの生息域では、食害によって葉がついておらず、下刈時には1本の細い棒が立っているような状態だったかも知れません。そのため、ついつい下刈時に誤伐をしてしまったものでしょう。しかし、これは植栽時の対策で簡単に避けることが可能です。ススキが多い造林地では、ここに植わっているよという目印が必須です。誤伐に次いで大きいのが、シカ・ノウサギ等の獣害ですが、シカの場合は生息していない場所もあることから、問題とならない地域もあります。ノウサギはほぼ全県下に生息していますので、問題としてはノウサギの方が大きいかもしれません。

○広葉樹造林のネック

当初、調査の目的としていた病害虫は、ほとんど見られませんでした。今回の調査地は木がまだ小さかったためでしょう。実は、広葉樹の造林にあたってはこれをクリアーしないと、絶対に健全な成林は見込めないという病害虫があります。たとえばケヤキならクワカミキリがそうです。日本中に分布し、宮崎市内にも激害地があります。6,7年生前後になるとほとんどの林で被害が見られます。枯れることはありませんが、幹に穴をあけますので、腐朽が入って台風などで折れてしまうことがあります。穴だらけになりますので、用材としては使えません。単木的に生えていた時代には、病虫害については何の問題もなかったのですが、同一樹種の大量植え付けによってなんらかの変化が生じ、問題となる可能性もあります。
もうひとつ、これは用材生産を目的とする場合に問題となるのですが、苗木にからみつくツル性の雑草も大きな被害を及ぼします。用材の場合は幹はまっすぐであることが重要ですが、幼齢時のツルは幹を曲げてしまうことが多いのです。下刈時に切り残されているツルも多くみられました。広葉樹の場合、スギよりこまやかな気配りが必要です。

○マツしか生えないところに広葉樹を植える

人為の害はもう一つあります。これは植栽以前の問題ですが、適地選定の誤りです。この点については、既存の文献や各地の広葉樹林をみた感想からお話しするしかありませんが、マツは多くの樹種のなかでも、あまり土地を選ばない樹種です。尾根筋の基岩が露出しているような場所でも立派に成林し、そのようなところは「マツしか生えない」というような言い方もされます。これに対して、広葉樹はおおむね肥沃な土地に生育する樹種が多いようです。広葉樹、とくにケヤキなどの天然物は非常に高価です。そのため、造林をしようという気になる場合も多いことでしょう。しかし、それはたまたま立地的に好条件の場所にあったため大きく育ったもので、現状のように、マツ林の跡があいているから広葉樹を植えるということでは、活着はしてもその後の生育は期待薄です。 広葉樹造林にはまだ体系化されたマニュアルはあまりありません。参考書には天然の分布状況などから、造林適地が記載してあります。それにはマツ林跡に好適などという樹種はないのではないでしょうか。植栽適地の選定は、病虫獣害などの被害要因以前の重要な問題で、熟慮が必要です。

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