
抵抗性クロマツ苗は線虫(マツノザイセンチュウ)に対して強い抵抗力を持つ苗木のことで、将来も絶対に枯れないクロマツと言う意味ではなく、線虫の接種検定により一定基準をクリアした枯れにくいクロマツと理解すべきでしょう。しかし、自然界の線虫も今後の進化で加害力が増すと考えられることから、より強力な抵抗性苗木を継続して開発する必要があります。
抵抗性クロマツ苗は線虫の接種検定によって生産されています。具体的には、抵抗性クロマツ採種園から球果(種子)を採取し、苗木養成2年目の夏に線虫を苗木1本当り約5千頭を接種します。判定は接種3ヶ月後に目視で行っており、葉が変色したり、枯死した苗は抵抗力が弱い苗木、全く変化が見られない健全苗は抵抗力が強い苗木(=検定合格苗)と判定されます。これら選抜された合格苗は、翌春に抵抗性クロマツ苗として出荷されます。
採種園の母樹は強い抵抗性を持っていることが複数の検定により確認されていますので、その採種園由来の実生苗も抵抗性を受け継いでいることが期待できます。事実、採種園由来苗の合格率(線虫接種本数に対する検定合格苗の割合)は従来の一般クロマツ苗よりも高い値を示しています。
現在の線虫接種検定による合格率は約5割です。これは1万本接種した場合、約5千本は枯らす計算になります。また、接種作業は夏の炎天下で行われることから、労力を要する割には決して効率的な生産とは言えません。そこで、採種園の母樹系統と検定合格率の関係を調査したところ、合格率は系統によって差があることが明らかになりました。この結果から合格率の高い系統苗を優先的に養成し、抵抗性苗を増産する方法が進められています。
抵抗性苗の生産は接種検定時の歩留まりを多くすることだけでなく、抵抗力の質を向上させることも重要です。これまでの研究で合格苗同士でも抵抗力に差があることが分かっており、今後はいかにエリート中のエリートを効率よく生産できるかがカギとなります。そのためには母親(種子親)と父親(花粉親)の最適な交配組合せを特定する必要があり、人工交配やDNA解析技術を用いて交配組合せと抵抗特性の関係について解明を進めているところです。
・接種直後・接種3ヶ月後
線虫接種による検定