
以前、本誌で地球温暖化がスギに及ぼす影響について紹介しました。今回はその後の研究から分かってきたことについて述べます。宮崎市での温暖化の状況は先に示しました。さらに月間平均気温を平年値と比べてみると、ここ5年間のうち平年値以下だった月は60箇月のうちわずかに7回、8年5月から11年6月まで、実に38箇月は平年より気温が高かったのです。では、それが森林被害にどのように影響しているかを見ましょう。
干害が多くなっている話は前回しました。今回は凍害の発生状況を見ましょう。森林保険では昭和36年から気象害が認められるようになり、38年以降本県では途絶えることなく、毎年発生してきました。ところが、平成3年にゼロになり、その後も6,7年にゼロとなっています。3年から6年間でわずかに19件の被害でした(図)。これは明らかに冬季の温暖化が影響しています。以前は毎年のように被害がありましたので、凍害の診断は誰でもできましたが、最近のように発生が少なくなると症状を知っている人が少なくなって、センターへの診断依頼が多くなっています。逆に依頼がなくなったのが、中・壮齢木の干害による立ち枯れです。これは平成に入って7回も発生したということで、皆さんどういうものかが分かった結果でしょう。
温暖化が進行した結果、冬季の気温が生息を妨げる要因になっていた害虫が、勢力を拡大しています。マツノザイセンチュウによる松枯れは、古い教科書では標高650m位まで発生とあります。最近のものでも750mとなっています。ところが平成10年に椎葉村の標高1000m地点の枯れマツからセンチュウが検出されました。この年の被害は単発的なものと考えていましたが、翌年も1000m地点の枯れマツから再びセンチュウが確認されました。10年の被害は被害木円板の持ち込みでしたので、症状を見ることはできませんでしたが、翌年ははっきり症状が松くい虫のものと確認できました。高標高地には立派な松が残っています。何とか守ってほしいものです。
温暖化が進行すると生物の分布域が変化します。寒冷地を好む生物は衰退し、南方系の生物が北上してくることになるでしょう。昨年紹介しましたヤシオオオサゾウムシがその例ではないかと考えています。温暖化でなくとも侵入してきた可能性はありますが、より快適に冬が過ごせるようになっていることは間違いありません。侵入を警戒している害虫にタイワンカブトムシ(写真)というヤシ類の害虫がいます。この虫は冬を越せないため、九州本土には上陸しないだろうといわれていましたが、最近、目撃情報が相次いでいます。さらに、イヌマキの害虫キオビエダシャクというのがいます。この虫は40年ほど前に都井岬付近で発生したのですが、冬が越せずに絶滅したらしく、その後は目撃情報はありません。当時からすると冬の気温は上昇しています。現在、猛烈な勢いのシカ個体数増加原因も、本州方面では雪が少なくなったことがあるとされています。
以上、林業に対する負の影響について述べました。造林木には気温上昇による生育促進効果などもありますが、雑草の生育も促進されるので善し悪しでしょうか?