
木質住宅の構造材に求められる品質は、大きく変わっています。特に、品確法の施行で寸法変化の少ない乾燥材、もしくは集成材に対する要求が高まっています。また、スギ心持ち柱材は、人工乾燥と天然乾燥を組み合わせないと、低コスト・高品質乾燥材の生産は難しい材料です。今回、乾燥材生産の場で必ず使う含水率計の測定深度を、全乾法含水率との対比で調べましたので、説明します。
人工乾燥または天然乾燥のいずれでも、最終的な含水率の測定は含水率計で行います。重量測定は、初期重量による仕分け、天然乾燥途中のチェックには効果を発揮します。「針葉樹の構造用製材品の日本農林規格」では、乾燥材の含水率測定は認定された機種を用い、一材面につき三ケ所、四材面で十二カ所の平均値をその材の含水率とします。
認定機種は三機種あり、マークが貼ってあるのですぐ分かるようになっています。いずれの機種も木材の高周波誘電率が含水率に比例する性質を応用したものです。このため、表面が均一でない丸太や製材品の木口面では測定できません。また、50%以上の高含水率域の測定値はばらつきが大きく、事実上、測定不能です。さらに、誘電率は比重の影響が大きいため、測定しようとする木材の比重をダイヤルで調整するようになっています。比重がほぼ同じ機種をまとめた樹種群に与えられた数値にダイヤルを合わせます。柱材のように断面寸法の大きい製材品では、表面は乾燥しているが内部は高含水率であることがよくあります。このような状態のことを「含水率傾斜がある」といいますが、含水率計で測定するとどんな値が出てくるか、実験しました。
人工乾燥した柱材の表面を50cm間隔に含水率計で4面測定します。その箇所で、表面から5mmずつ4枚の薄い切片を切り出し、全乾法で含水率を求め、含水率計の測定値と比較したものです。なお、含水率計は2樹種使いました。
図を見ると、含水率計の測定値はいずれの樹種も表面の1枚の値より、4枚までの平均値と高い相関関係があります。つまり、含水率計は表面から深さ20数mmまでの平均的な含水率を測定していることがわかります。また、関係を表す直線の傾きが2機種間で異なっています。認定機種であっても測定値に差がでることは避けられないので、自分が使う機種の特性を理解しておくことが重要です。さらに、含水率が40%以上になると全乾法の含水率との直線関係が崩れています。
このように、含水率計は乾燥した製材品の表面含水率を測定するには優れた装置ですが、乾燥材に体する要求は厳しくなっており、表面から内部に至る平均含水率でチェックする方向になっています。製材工場のライン上で自動計測する含水率測定器を、林野庁の事業で開発中です。実用化されれば、これまで以上に乾燥材の品質が厳しくなることが予想されます。木材生産は、乾燥も含めた総合的なシステムとして考える必要がありそうです。
(林産部 小田)