
スギ林内の地表には葉、枝、樹皮等が堆積しています(写真)。これらの堆積有機物は土壌表層への雨滴の衝撃を和らげ、また、分解することによって、これらに含まれる様々な養分を土壌に供給しています。最近、これらの堆積有機物の物理・化学的性質が樹種によって大きく異なることがわかってきました。ここでは、35年生スギ、ヒノキ林内の堆積有機物について簡単に紹介します。
1平方メートル当たりの堆積有機物重量はスギ林がヒノキ株より多く、また、大きさ別にみるとスギ林では全体に占める葉の量が、同様にヒノキ林では枝の量が多いことがわかりました(図1)。
ヒノキ葉は鱗片化(細片化)して降雨によって流され、また、土壌中に混入し易いために、堆積する量が少ないことがわかってきました。
一方、スギ葉は形態的にヒノキ葉に比べ地表に留まり易い形態であるといえるようです。
堆積有機物に含まれる数種の養分について調査した結果(図2)、窒素、カルシウム、マグネシウム、含有率はスギ林の方がヒノキ林のものに比べ高いことがわかりました。スギ林では有機物量も多いことから、当然のことながら土壌へ供給されるこれらの養分量も多いと考えられます。
森林に降る雨のほとんどは酸性雨です。これらの中には土壌を酸性化する硫酸、硝酸、塩素などの酸性化物質が含まれており、土壌への影響が懸念されています。これらの物質がスギ林の堆積有機物質層を通過する際、吸着されて、表層土壌への流入を防いでいる可能性が高いことがわかってきました。実際に調査すると、スギ林の表層土壌ではヒノキ林のものに比べペーハー値が高い(酸性度が弱い)傾向がみられます。
堆積有機物質の分解速度は地表温度、水分条件及び地形によって大きく影響されることが知られており、本県のような温暖な地域では分解速度も早いことが知られています。
除・間伐すると多量の枝葉が林地に供給され、さらに光が林床に届くことにより、分解が促進されると予想されます。つまり、土壌への養分蓄積が行われるため、林地は肥沃化し、樹木の成長も促進されると考えられます。
(育林経営部福里和朗)