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宮崎県林業技術センター

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林業みやざき:No.460(2000年 月)より

きのことDNA

はじめに

DNA解析技術の進歩により、これまで難しかった高度な解析を比較的簡単に行えるようになりました。特にきのこの分類においてはDNAを利用した研究が盛んに行われています。
きのこの分類はこれまで子実体(きのこ)の形態、色、菌糸の成長速度などの肉眼的または培養特性等により行われてきました。しかし、最近ではDNAを調べることにより、類縁関係をより正確に判定できるようになりました。DNAは遺伝子の本体で、きのこでは細胞内の核とミトコンドリアの中にあります。また、その形は2本の鎖が互いに絡み合った巨大分子で糖と燐酸と4種類の塩基から構成され、遺伝情報はこれらの配列で暗号化されています。

シイタケ害菌のDNAパターンの図
シイタケ育成品種のDNAパターンの図

DNAの利用

1害菌の識別
害菌を識別するときに問題となるのはしいたけも害菌も真菌類と呼ばれる生物群に属し、また、その一生の大半は菌糸と呼ばれる糸状の細胞なので、この段階で種を特定するのは特徴が少ないため困難なことです。そこでDNAの分析は、目的とする害菌を分離・培養してDNAの特定部分を増幅し解析していきます。また、塩基配列を調べてホモロジー(相同性)検索により、きのこの種を特定することもできます。
2害菌の感染時期の特定
施設内で害菌がいつ進入したかを特定することは、害菌対策上重要です。(原因菌)と施設内の一定箇所から分離された菌と原因菌が一致するかを検討することで、感染時期を推定することができます。顕微鏡観察では似通った菌も数多くあることから限界があり、個体レベルでも変異が検出できるDNA分析が有効な方法になってきます。

利用事例

今回はしいたけ菌床の種別不明害菌について、DNA解析を応用した1被害菌床から分離した菌(原因菌)と他の害菌との比較、2加害する菌の特定の2つの事例について紹介します。1は健全な菌床に被害菌床から分離した菌を接種したところ、現地と同様な被害が現れました。しかし、この菌は無胞子で識別に必要な特徴がありませんでした。そこで被害菌床からの害菌と接種した再現菌床から分離した菌のDNA解析をしたところ両菌が一致し、被害菌床からの分離害菌によってこの被害を起こすことが判明しました。
2の害菌の特定は、DNA解析による塩基配列情報を基にホモロジー解析を行います。この解析は、調べた塩基配列データを各種のデータバンクに照会し、ある領域にわたって同じまたは非常に似ている部分を検索して菌を特定するものです。この結果、本菌はトリコデルマの一種であることが判明し、防除対策が行えるようになりました。

おわりに

林業面においてもDNAの利用技術は今後飛躍的に進歩するとみられ、きのこの応用面では育種への利用、害菌の感染経路、生態的研究などの幅広い利用が期待されます。
(林産部 中島)

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