平成30年度第4回宮崎県公共事業評価委員会審議録
1.開催日
平成31年2月12日(火曜日)
2.場所
自治会館3階大会議室
3.出席者
- 委員
- 委員長:谷口義信
- 委員:稲垣仁根
- 委員:緒方哲也
- 委員:嶋本寛
- 委員:平奈緒美
- 委員:鳥山純代
- 委員:村上啓介
- 執行部局
- 事務局
4.審議事業
環境森林部所管事業における公共事業再評価について
(対象理由)
- 事業採択前の準備・計画段階にある公共事業で5年を経過する事業
- 事業採択後10年を経過する公共事業
- 事業採択後5年を経過する時点で着工できないことが明らかな公共事業
- 再評価実施後5年(下水道事業にあっては10年)を経過する公共事業
- 1.から4.項の規定にかかわらず、国の対象要件が示された国庫補助事業で、再評価を実施する必要があると認める公共事業
- 社会経済情勢の変化等により再評価を実施する必要があると認める公共事業
農政水産部所管事業における公共事業事後評価について
公共事業事後評価の報告について
農政水産部
5.審議結果
環境森林部所管事業における公共事業再評価の審議結果について、次の事業については、評価の内容及び方針は適当である。
- 林道事業西米良・須木区間
- 林道事業竹の原・諸和久線
- 林道事業岩神・大石線
農政水産部所管事業における公共事業事後評価の審議結果について、次の事業については、評価の内容は適当である。
- 畑地帯総合整備事業七野・八重地区(宮崎市)
- 公共事業事後評価の報告について
農政水産部所管の公共事業事後評価については、評価内容が適切であると認める。
6.審議録
環境森林部公共事業再評価
<一括審議>
1.林道事業西米良・須木区間(西米良村)
- 委員
地すべり箇所の復旧は完了したか。
- 県
一部、地質が脆く流れ盤地帯を通過しており、平成24年ごろから対策工としてアンカーを施工している。平成27年に発生した地すべり箇所の復旧は、平成32年までかかる予定である。この対策に不足の日数と費用を要したため、事業期間の延長と事業費の増加をお願いしたい。
- 委員
林道の開設により、小川集落から村所までの所要時間は何分短縮されるのか。
- 県
現在、小川集落から村所まで40分程度かかっている。開通後は15分短縮されて、25分程度となる予定である。通勤・通学路として、災害時の避難路として期待している。また、「おがわ作小屋村」と西米良温泉「ゆたーと」間のアクセス時間が短縮されることで、集客効果も上がると期待する。
- 委員
宇目・須木線の開通状況はどうなっているか。
- 県
全長170kmのうち、宮崎県側は約100kmである。このうち、西米良・須木区間の19km以外は全線開通している。西米良・須木区間19kmのうち、6kmが開設済みで、残り13kmが開通すれば、宇目・須木線全線開通となる。
- 委員
西米良・須木区間については継続ということで了承する。
<個別審議>
1.林道事業竹の原・諸和久線(日之影町)
- 委員
事業継続の効果は、費用対効果のどの項目に反映されているのか。
- 県
事業継続の効果のうち、1.林業生産性向上による低コスト化は、森林整備経費縮減等便益、2.森林の総合利用に向けたアクセス効果は、森林の総合利用便益、3.災害時におけるう回路等交通ネットワークの強化は、災害等軽減便益に反映されている。
- 委員
県道日之影宇目線は、宇目・須木線の一部区間になっているのか。
- 県
宇目・須木線は、林道と国県道を併用する形で計画しており、県道日之影宇目線もその一部である。
- 委員
路線内に、大盛土を計画しているが、この大盛土が将来災害の元凶になっている。盛土高さの上限など設計上の制限はあるか。
- 県
土砂の運搬経費を削減するために、現場内に大盛土を設置することもあるが、安易に近距離の場所を選ばず、災害のリスクが低い場所を選んでいる。全体の盛土高さの制限はないが、1段の盛土高さは5m以内、盛土法勾配は1割5分以下という基準がある。また、必要に応じて、基礎部に擁壁を設けることもある。
- 委員
事業期間を10年延ばすのに、事業費は変えていない。今後、岩質が悪い箇所を通過するなら、増額しとくべきではないか。
- 県
これまでは、転石など現場条件が悪く、その対策に時間と経費を要したため、今回、事業期間の延長をお願いした。ただ、事業費については、今後は、施工しやすい地形となるため、経費が抑えられると想定しているので、全体事業費は現計画で変更ない見通しである。
- 委員
木材価格の低下など社会情勢等の変化の説明は何のために行なったのか。
- 県
木材価格の変動など社会情勢は、費用対効果分析の評価項目に影響するため、説明を行なった。
- 委員
開設区間は供用しているのか。
- 県
既に供用されており、林道沿いの集落の生活道としても利用されている。
- 委員
利用区域内の森林整備実績について、主伐121ヘクタールに対して、造林18ヘクタールとなっているが、再造林率が低すぎるのではないか。
- 県
再造林の割合が若干低いとは考えているが、林道が全線開通していないことも影響していると考える。ただし、日之影町を含む西臼杵地区の再造林率は80%となっており、林道開設に伴って再造林の面積も増えてくると思われ、また、そのように指導していく。
- 委員
転石が多い箇所は、過去に崩壊が発生している箇所であり、その周辺の森林を伐採すると崩壊の危険性が高くなるのではないか。
- 県
転石が多い場所では、開設に必要な幅の森林は伐採し、のり面をモルタル等で保護するが、その周辺は伐採せずに残すように指導する。
- 委員
林道事業竹の原・諸和久線については継続ということで了承する。
2.林道事業岩神・大石線(五ヶ瀬町)
- 委員
この路線は、全区間舗装を計画しているのか。
- 県
舗装については、当初は計画していなかったが、地元からの要望もあり全区間舗装を追加計画している。
- 委員
林道開設後は、市町村に移管するので、市町村は林道管理者として、管理が容易な舗装まで完了した林道を県から受け取るほうが良いと思うのは当然と考える。
- 委員
水源地はどのくらいあるか。
- 県
利用区域内に10か所の水源地があり、水源涵養保安林もある。
- 委員
保安林になると伐採などの施業の制限はあるのか。
- 県
保安林内の伐採は、県の許可が必要であり、また、皆伐面積も制限がある。
- 委員
地質が悪いようだが、開設のメーター単価はどのくらいか。
- 県
当初15万円程度を予定していたが、今回26万円で見直しを行なった。この増加分には、舗装も入っている。また、平成28年の熊本地震で資材搬入路が被災し、資材が搬入できなかったことも開設が遅れている原因となっている。
- 委員
熊本地震での林道の被災はほかにあるのか。
- 県
宮崎県の林道における熊本地震による被災は8箇所であり、五ヶ瀬町では当箇所だけである。
- 委員
当事業は、地域森林計画に基づいて実施しているが、今回の事業期間の延長は、地域森林計画に反映されているのか。
- 県
林道開設は、森林整備と大きく関連しているので、5年ごとの改定時に反映させている。
- 委員
森林整備の実績で、主伐が77ヘクタール、対して造林が27ヘクタールと再造林の割合が低いのではないか。
- 県
再造林率は、これから若干増加すると思うが、それでも低い数字である。地域森林計画の中でも、林道開設と森林整備は連動させていくことになっているので、今後、林道開設の状況を見ながら、再造林についても指導していく。
- 委員
林道事業岩神・大石線については継続ということ了承する。
農政水産部公共事業事後評価
1.畑地帯総合整備事業七野・八重地区(宮崎市)
- 委員
整備前の79経営体が整備後では69経営体へ変わり、これは規模の拡大によると思うが、個人農家は対象ではないのか。
- 県
認定農業者や法人経営体も含まれているが、個人の経営体が多い。
- 委員
認定農業者は市が認定するのか。
- 県
市が認定した認定農業者を経営体という言葉で表現している。
- 委員
認定農業者は、今後10年~20年農業を継続する保証のある方を認定するのか。もしくは経営規模で認定するのか。
- 県
市で年間の収入が一定以上得られる等の基準を設けて、ある一定以上の所得を農業から生み出せる方を認定農業者として認定している。
- 委員
農地を持っていれば認定農業者になるということではないのか。
- 県
はい。そうではありません。
- 委員
経営体数が減ったのは、認定農業者に申請しなかったということか。それとも、認定したが認められなかったというものなのか。
- 県
今回減った14経営体については、高齢等により認定農業者に更新されなかったもの。ただし、現在も農業をされる方々が大部分である。
- 委員
パイプラインでは、個人負担があるのか。
- 県
基本的には水の出る給水栓ボックスの手前までは農家負担はない。給水栓ボックス設置には、自己負担と、土地改良区への水利費の負担が生じることになる。スプリンクラーを付けるところでは、18.3%の地元負担がある。
- 委員
補助はないのか。
- 県
補助を活用した上で、実負担18.3%のうち市が10%負担する場合は、8.3%が農家の負担という仕組みになっている。
- 委員
区画整理の周囲も整備されているように見える。例えば假屋原地区では右側のハウスや、片井野地区では山林が整備されたりと、周囲も恩恵を受けるのか。
- 県
假屋原地区では、区画整理を行うエリアとして事業に参加しているが、この他では、農業用水や農道だけを整備するエリアもある。また、片井野地区周囲の山が小さくなっている部分については、今回の事業とは関係ない。
- 委員
本地区は、農作業の効率化、農業経営の向上、営農経費節減、経営の安定向上、担い手の育成が達成できているのか。本委員会は、約30億円投入した結果、目的が達成出来たのか達成できなかったのかについて話し合う場だと思う。目的からすると、今後の課題を含め、思っていたほど達成できなかったという認識でよいか。
- 県
総合評価の判断としては、当初考えていた効果がこの地域には十分あり、地域のアンケートも含め、事業目的を達成したと考えている。今後の課題については、将来さらなる高齢化が進むことにより、限られた担い手だけで維持管理を行うことが懸念されるため、地域全体で維持管理する取組を課題として捉えたところである。
- 委員
わかった。では、今回、成功したという内容はどこになるのか。
- 県
全農家の経営や所得状況を把握することは困難であるため、事業実施後における効果についてアンケートを行い、多様な品目の作付が可能となったこと等を捉えたところ、作付状況から高い品質のものを所得に還元していると推測できることから、当初想定以上の効果が出ていると判断している。
- 委員
今後可能であれば、事業の前に、その後の経営や所得の効果を調査させていただくことを説明し、同意の下で参加してもらえば良いのではないか。受益を受けない人や農業に全く関係ない方々に、いかに農業を支えているのかということを、ソフト面やハード面、様々なところから説明出来ると思う。経営者もこのことを頭に置いて取り組むことで、農業経営に真剣に取り組む。今後、担い手の経営者を育てるという意味でも必要ではないかと思う。
- 県
この件については、貴重な意見として、今後、この視点を加えて事後評価に取り組んでいきたい。
- 委員
多面的機能の発揮という点は、非常に有効であると思う。これからの農業を考えて、農家だけではなく、地域の方々が一つのコミュニティーを作って地域全体として環境保全にも取り組むということが非常に良い結果ではないかと思う。
- 県
これまでは、土地改良区や農家主体で用排水路や景観も含めて維持管理に取り組んでいたが、現在は、国の制度を活用し、全県的に地域住民参加型で取り組む地域が年々増えている。さらには、隣接する集落も含めて一体的に管理する取組に向けて、県も地域の組織形成の展開を推進しているところである。
- 委員
農産物の生産額については、地区内の生産実態から15億円相当の1.6倍になったという試算であるが、当初の費用・便益と比べて、これを超える便益が出ているということでよいか。
- 県
当初想定していた目標の生産額を上回っているということである。
- 委員
当初想定していたものが、事業に取り組むことで、生産額に関して、効果が出ていると説明してもらえばよいと思う。後は、数字だけで計れない部分について、アンケートやヒアリング等で、効果が得られる事業であったという説明であれば非常に理解しやすい。
- 県
今後は、当初計画に対する生産額等の効果について、整理の仕方を改善したい。
- 委員
本地区は、事業の効果が発現していることから、再度改めて事業評価する必要はないという結論で、了承する。
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