ここから本文です。
更新日:2019年11月1日
このページでは、令和元年10月13日(日曜日)に開催した「いざや、みやざき宵まつり」(国文祭・芸文祭みやざき2020一年前イベント)の模様を、写真を交えて紹介します。
開演直前の前庭の様子です。すでにイベントのはじまりを待つ来場者でにぎわっていました。
15時00分開演。オープニングアクトを飾ったのは、分野別フェスティバルへの出演が予定されている「宮崎県太鼓連合」のみなさん。
「橘太鼓響座」「和太鼓一座天響」「舞鶴一座秋月鼓童」の3団体連合でのステージです。
宵まつりのはじまりを告げる力強い太鼓の音が、県庁前庭に響きました。
続いて登場したのは音楽ユニット「アルケミスト」のお2人。こんやさんのやさしい歌声と、井尻さんの繊細なピアノの音色が心地よく響いています。
アルケミストとこどもたちによる大会イメージソング「ひなたの真ん中で」の歌唱。この日が初披露でした。
歌の終盤で、色鮮やかな風船を空へ飛ばしました。青空に映えて、とても綺麗でした。
大会の成功を祈願して餅まき。河野知事も「国文祭ハッピ」を着用して餅まきに加わっています。
(後ろには「冷や汁かぁくん」が!)
宮崎市民吹奏楽団。50名を越える楽器隊です。聞き馴染みのあるディズニーメドレーや行進曲「五月の風」などを演奏しました。
みやざき犬とアートンソウルファクトリーのダンスパフォーマンスです。
昨年の2年前イベント、今年6月の500日前イベントに引き続いての出演です。
今回初の「神話むぅちゃん」との共演!
「ヒップホップ岩戸開き」というタイトルでダンスを披露していただきました。
夜の部の「神楽」による岩戸開きとは非常に対照的で、岩戸の前で繰り広げられる「ブレイクダンス」や「パラパラ?」など、
神話を現代流に再解釈されていて、興味深いものでした。
日も暮れて、いよいよ宵まつりの雰囲気が高まってきました。
2部のはじまりに合わせて、県庁本館が朱色にライトアップされました。
ここからは、県庁自体を大きな神楽宿(かぐらやど)に見立てて、荘厳な雰囲気の中、記紀・神話の世界へ会場をいざないます。
県庁楠並木通りから、青島臼太鼓踊りの隊列が威風堂々と登場。夜の部の幕開けを告げました。
面組・太鼓組による踊りを軸に、それに唄組、鉦組、笛組、旗組による音楽隊が続き、非常に勇壮な演舞でした。
高千穂町の二上神楽保存会による神楽の奉納です。刀を用いた勇壮な「太刀神添(たちかんぜ)の舞」・「岩潜りの舞」にはじまり、
イザナキとイザナミの仲むつましい(?)様子を表現した「御神体の舞」、「岩戸5番」と呼ばれる岩戸神話を題材にした舞の中から「手力雄(タヂカラオ)の舞」「鈿女(ウズメ)の舞」「戸取の舞」という順番で、計6番が奉納されました。
今回新たな試みとして、神楽に合わせて「古事記語り」をおこないました。
元MRTアナウンサーの前田晶子さん、薗田潤子さん、倍友子さんの3人からなるユニット「宵がたり」の皆さんが、
奉納される神楽に合わせて、その背景となっている神話を語りました。
「戸取りの舞」のクライマックスで、2枚の岩戸が開かれた瞬間には、会場から自然と拍手の音が鳴りました。
続いて、楠並木通り西側のパフォーマンスステージの模様を紹介します。
オープニングアクトを飾ったのは宮崎妻高校女声合唱団のみなさん。
「神田川」「ハナミズキ」などを、若々しい元気な歌声を披露しました。
乱翔舞令(ZERO)のみなさん
「えれこっちゃみやざき」でも披露した「神話」を題材にした、躍動感あふれるダンスを披露しました。
ひむかこども落語一門会の寄席です。
「ひむか亭2B」・「ひむか亭とびうお」のお2人が、古典からオリジナルまで、大人顔負けの噺を披露しました。
ひむかオペラの会のみなさん。
ヴェルディ作曲「乾杯の歌」、ナポリ民謡「オーソレミオ」
モーツァルト作曲「妹よ、見てごらん」「どちらかといえば黒髪の彼の方」などを披露しました。
県庁楠並木通り東側には、各文化団体のみさなまにブースを設けていただき、「お茶」「お香」といった文化の体験コーナーを実施しました。
生け花体験の様子です。
華道家元池坊宮崎県連合支部のみなさまに御協力いただきました。
実際に生け花にふれるワークショップを実施し、多くの人たちでにぎわいました。
お茶の体験では、茶道表千家・裏千家・煎茶会の3流派が一堂に会して呈茶などをおこないました。
こちらも、非常に多くの来場者のみなさんでにぎわっていました。
こちらは囲碁体験の様子です。こどもたちが、真剣な表情で打ち方のレクチャーを聞いています。
こちらは将棋体験の様子です。宮崎県将棋支部連合会の皆様に御協力頂きました。
老若男女様々な方々が対局を楽しみました。
メインステージ付近に、アートステーションどんこや様の御協力により、障がいのある人たちが製作した作品の展示ブースを設置しました。
難解な作品から可愛らしい作品まで多彩で、一点一点が興味深いものでした。
ふるまいコーナーでは、昼の部では「宮崎牛」のふるまい、夜の部では「にしめ・かっぽ酒」のふるまいをおこないました。
宮崎牛のふるまい時には、整理券を求める多くの人たちが並んでいました。
(個数に限りがあり、食べることができなかった方は、申し訳ありませんでした。)
一方、夜の部の「にしめ・かっぽ酒」は夜神楽の定番の品です。
本場の神楽宿さながら、竹筒から燗にした焼酎を注ぎました。
国文祭・芸文祭みやざき2020では、フォーカスプログラムの一つとして、「若山牧水」(短歌)を掲げています。今回、その取り組みの一環として、宮崎大学短歌会の皆様に会場にお越しいただいて、ステージ・ブースを観覧・体験していただき、感じたことを歌に詠んでいただきました。
宮崎大学短歌会は、顧問の中村教授のゼミ生を中心に発足したサークルで、「大学短歌バトル」にも出場経験のある活躍めざましい短歌会です。
短歌会のメンバー3名が詠んだ計7首を下記に紹介します。(添付の「写真」「文章」も学生によるものです。)
夜神楽の光さやかに子を照らしなお光るなりその肩車久永草太(農学部獣医学科3年)
それはそれは高くて厚い人の壁でした。夜神楽にはこんなにも人を集める力があるのか、と少々圧倒されました。大学生の僕にとっても高い壁なのですから、子どもにとっては今にも崩れてきそうな怖い崖でしょう。その子どもを崖の上にヒョイと持ち上げて、舞台を見せてあげようとするお父さんお母さんたちも、神々に負けず光っていました。
しゃこしゃこと茶筅踊らせ雲を産み秋空を飲むようにひと口久永草太(農学部獣医学科3年)
抜けるような秋晴れにテントが三張ならんで、右から順に表千家、煎茶、裏千家が体験ブースを構えております。これは、はしご酒ならぬはしごお茶をせねばなりますまい。と勇んだものの、泡を楽しむ裏千家では泡立たず、泡を立てない表千家でこれでもかというほど泡を立て、煎茶では湯をこぼし、ほうぼうで初心者の恥をかき倒す始末。先生方の手際に見惚れるばかりでした。
お茶お酒お煮しめ秋のしあわせは宵の器に息をひそめる久永草太(農学部獣医学科3年)
清少納言は、秋は夕暮れだと言いますが、夕日と烏のねぐら入りだけではちょっとさみしい。何かお供がほしいのです。宵まつりには、茶道や香道の体験に、かっぽ酒とお煮しめの振る舞いなどなど、役者が勢揃いでした。短歌を作らねば、という焦りはちょいと脇にのけて、煮汁たっぷりの揚げと、かっぽ酒(もちろん芋焼酎)でしばし秋の夕暮れを堪能しました。
大いなる海を宿して盤上のはまぐり碁石は武士(もののふ)となる江藤佑子(医学部医学科2年)
日向市の特産品、はまぐり碁石。一見小さな白い塊ですが、持ってみるとその意外な重さに驚きました。海にいたころの記憶や、はまぐりとしての生をその体に吸い込んでいるのでしょうか。歌は、じっと盤上に在り陣地を守る武士としての碁石と、かつて海の中に深く沈んでいたはまぐりの姿を重ね合わせて詠んでみました。イベントでは囲碁のルールを一から教えていただき、会話も弾み、写真まで撮らせていただいて。楽しい時間を過ごすことができました。
太古から吹く風のごと香が舞い我に染み込むただ我となる江藤佑子(医学部医学科2年)
香は、かつては室内に空焚きにしたり、衣服に焚きしめたりして使っていました。もはやその人の一部を形成していたと言っても良いでしょう。現代ではそうしたことは希ですが、お香体験を通して、香を聞いている私自身に香が移り、やがて自分の一部になっていくような感覚を味わいました。奈良時代日本に伝わってきた文化が、独自の形に変化し、現代まで脈々と受け継がれてきたことを踏まえると、その歴史まで自分に染みこんでいくような気がしてきます。香を通して太古の日本に思いを馳せるのもなかなか雅なものです。
歌声がワンオクターブまた上がる心潤わす楠木の下瀬尾七菜美(教育学部学校教育課程小中一貫コース3年)
初めてオペラを鑑賞しましたが、力強い歌声が県庁前の楠木並木の下に響き渡り、特別な空気感を演出していることに感動しました。女声のハーモニーがとても美しく、物語が自分の頭に広がり、鑑賞している自分も一人の主役のような気持ちで聴き入ってしまいました。音程が上がる度に盛り上がり、さらに引き込まれていく心や大きな楠木の下で心が澄んでいくような感覚を歌に詠みました。ひむかオペラの会の公演から。
イザナギの舞を照らすは月明り我にも注ぎよいしれている瀬尾七菜美(教育学部学校教育課程小中一貫コース3年)
神々の天地創造の物語を照らしている満月は、世界の全てを知っているのではないかと思いました。そして、今を生きている私たちにも同じ光が降り注いでいることに神話の世界と私たちの生活が結びついていくような不思議さを感じました。宵は、酒に酔ったイザナギの姿も神楽の優美さの余韻に浸っている私の姿も知っているのかと思うと、壮大な物語が目の前に広がっている気がしました。
さて、県庁前庭のメインステージの様子、楠並木通りのパフォーマンスステージ、体験ブースの様子などを、写真を通して振り返ってきましたが、
会場の雰囲気伝わったでしょうか。
伝統芸能や生活文化をはじめ、ヒップホップダンスなどの新しい文化に至るまで、
多彩な内容でお送りした1年前イベントでしたが、改めて、宮崎の文化の多様性や底力を実感した1日でした。
一日を通じて、たくさんのみなさまにお越しいただきました。来年の本大会に向けて、大いに開催気運を高めることができたと思います。
本当に、ありがとうございました!