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掲載開始日:2019年9月30日更新日:2019年9月30日
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平成30年9月22日(土曜日)に、宮崎大学地域デザイン棟(木花キャンパス)で実施しました。当日は、高校生、大学生、若手社会人の合計18名の参加がありました。講師は日南市の市長であります﨑田恭平氏をお招きして、「政治家の仕事の内容を聞いてみよう」というテーマで講義していただきました。以下、講義の概要です。
私は、日南市の飫肥出身で飫肥の山の中で信号も1つもない、水道も通ってない、風呂も薪でわかすような田舎で育ちました。若くして政治家になったので、そういう家系なのではと思う人も多いけど、父は兼業農家。そんな私がなぜ政治家を志したのかについてお話しします。
大学時代は福岡で過ごしました。大学ではボランティアサークルに入って活動をしていました。高齢者、知的障がい者、児童養護という3つの班に分かれて活動していましたが、私は児童養護施設で活動をしました。児童養護施設というと、親の虐待とかで家で暮らせない子供達が生活するところです。ニュースとかドラマとかではなんとなく知っていた世界が目の前にあって、初めて行なったときの強いインパクトを今でもよく覚えています。子供達は普通にしているからです。具体的な活動は、子供たちと遊ぶことと勉強を教えること。特に高校受験い向けた中学3年生の学習指導に力を入れました。目標を持って学習に取り組むことを通じて、高校中退率を下げ、意欲を持って高校生活を送ってくれればという思いでした。頻繁に施設に通っていましたが、そのうち自分も施設の先生になろう、と考えるようになりました。子供と向き合うことの大切さ、親が1対1で向き合えていない子と、1対1で向き合うことにやりがいを感じていました。ある時、施設の先生から「現場では変えられないことが多い。例えば、職員の配置基準が少なく、現場では手いっぱいになるなど限界がある。﨑田くんは施設の先生というのもいいけど、制度を変えていく、そういうところにいってもいいのかな。」とお話しいただいたことをとてもよく覚えています。
しかし、政治家、興味はあるけどなかなか難しいのかな、という印象でした。選挙に出る人は官僚出身の人だったり、政治家の子供や企業経営者である印象が当時はあって、自分には難しいだろうと思っていました。ただ、いきなり児童養護施設の先生というのも、社会人経験がない中で、施設の先生として子供達の親代わりをできるかというのも、不安がありました。施設の先生になるなら、どこかで勤めて、ある程度社会を知って先生になろうと考えてました。
そこで、就職先を考える中で、児童相談所で働くのが、どの道に最終的に進むにしても良いのではないかと思い、県庁に入ろう、と思うようになりました。
県庁では8年勤務しましたが、結局一度も児童相談所に配属されませんでした。最初は地域振興課という所属で、ここは地域をどう振興していくかという大きな政策をつくるところです。児童相談所ではないので、最初はがっかりしてたのですけど、当時としてもやりがいのある仕事をさせてもらいましたし、大変視野が広がりました。世界が変わりました。これまで福祉しか見ていなかったのですが、全体をみるとおもしろい。例えば、福祉をしっかりするためには財源として税金が必要だし、地域がしっかりと強くないと、支える人材がないといけない、ということがはっきりと見えてきます。そのあたりからも政治に関心を持つようになりました。
市長になろうと思ったきっかけですが、県庁では、地域振興課、西都土木事務所、厚生労働省と勤務しました。厚労省は日本で一番高いところで、福祉施策の全体の方向性を決めるところです。そんなところで、仕事をしてて思ったことは、大きな声は聞こえてくるのですが、多くの声は聞こえてこない、ということでした。全国施設の会長のように大きな声は聞こえるのですが、現場の多くの声は感じること無く仕事をしたように思います。生活保護の予算の仕事もしていたのですが、2兆円ほどの予算を財務省へ要求するのですが、財務省は減らす努力をしなさい、といいます。ところが、厚労省の本省で働く皆さんは現場がない、そして知らないので、減らすアイディアやイメージがわかないのです。そのような経験を通して、住民に近いところで仕事をしたい、ということで、市長へ、と思うようになりました。
市長がどんなことをしているのか紹介します。
議会中の午前は議会、午後は協議がみっちりと詰まってます。このように、市長は議会で説明したり、各部署の職員から上がってくる市の課題であったり施策だったりを協議したりしています。
油津みなと祭りの日は、弁甲競漕大会に自ら参加したり、プロ選手とのバスケ対決をしたり、花火大会の挨拶をしてと、非常に多忙な一日となってます。
市長は忙しいです。お正月が2日くらい、ゴールデンウィークも2日、お盆も2日の年3回くらいしか休みがない。自分の子供に市長になりたい?ときくと、休みがないからいやだといいます。でも、やりがいがあります。私の話はこのあたりで。ここからは質問にします。
市長になったきっかけとして、いろいろ国で経験されたということですが、実際に福祉施設への施策を進める上で教員にはどういうものが求められると思いますか。
【答え】
政策として、商店街や飫肥城下町の振興などに、まず取り組んでいるところです。子供の貧困とか自立はすぐにはとりかかれないと感じています。まずは地元のニーズをしっかりとつかむ。地元に残ってくれない若者が多い、仕事の場、働く場がない、この問題をどうにかしようということを優先して取り組んでいます。次のテーマとして、子どもの貧困や自立のことに取り組もうとしています。
子どもの貧困問題解決は難しいと感じています。医療費無料とかお金をばらまくといきがちですが、それが本当に正しいのか分からないです。まずは、調査をして何が課題なのかを把握するところから始まるのかなと思います。例えば、子どもにプリントを渡してアンケートをすると回収率が悪いですが、朝ごはんを食べてきましたか、朝ご飯が用意されてましたか、とか、直接、貧困にかかわる質問ではない項目を盛り込むと、回収率も上がるし、実態を把握しやすくなります。政策の次のステップとして、これからですが、一つ一つ課題を分析しながら施策を実施するため、課題の洗い出しに苦労しているところです。
学校の先生には調査など一緒にやってもらえると助かります。特に子どもの貧困問題では学校の先生との連携が大事です。例えば、シングルマザーのご家庭について考えると、生活基盤が弱い場合があり、子どもができても育てきれない、というケースが多いと思います。そこで、体の仕組みとか、避妊についてであるとか、好きな人ができてもしっかりと考えられるよう、10代のうちにそのようなことについて考える力を培うことも必要と考えます。虐待や貧困などの起きてしまったことに対応するのに加えて、発生を抑えることも大事だと思っていますし、ここも学校の先生と一緒にできることだと思います。
日南市の子供に学力がついても、県外の大学へ流出してしまうかもしれないですが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
【答え】
県外に流出してしまう、という説はよくきく話です。確かにあると思います。ただ、私は大いにいいところにいけ、力をつけて帰ってこい、という話をします。
今、日南市は県外の優秀な人材を取り入れています。首都圏の有名大学を卒業し外資系銀行を経て日南市へ来てもらったり、東京の有名なインターネット関連企業を経て日南市へ来てもらっていたり。彼らが力を発揮して、日南市をおしゃれでかっこいい街にしていこうとしています。彼らを地元の高校に派遣して、子供達にかっこいい先輩を見てもらう、ということも大事と思っています。能力の低い人が残る街になる、というのは良くないですよね。仕事がないから、というのではなく自分で起業する、という考えの人、そういう人を集めて街をよくしていきたい。そういう意味で、どんどん県外のいい大学へいきなさい、といっています。
国で仕事をされていたときに、大きな声は届くが、多くの声は届かない、とのことでした。自分は定時制の学校で勤務していますが、子供達が「俺らのことは誰もみてくれない」といったりします。このようの多くの声をアピールするにはどう働きかけたら、どうすれば市長へ届いたりするのでしょうか。
【答え】
定時制高校は日南市内にはないので、実態を把握するのになやんでいたところでした。是非話を聞かせてもらいにいきたい。市長をして6年たちますが、こういうことがしたい、と思うと、人と人が繋がる経験をしています。なので、思っていることを、いろんな所に出て行なって発信することで、広がりが生まれると思います。
普段市長と話したりすることはないので、今日はよかったです。地方の仕事、国の仕事もされてたとのこと。地方だけではだめで、大きなところからものを見ることも大事なことなのだな、と思いました。
若者が政治へ参加する意欲を高めるのはどうすればいいのでしょうか。
【答え】
政策は誰に支援してもらえるかで決まる場合があります。高齢者しか投票にいかなければ、高齢者に対する施策だけになりがちになります。例えば、高齢者への祝い金を廃止したとして、これが高齢者に不評で、選挙に繋がって落ちたりすると、じゃあ、祝い金を復活させましょう、となるのかもしれないですよね。
他には、政治家の責任もあります。若者の関心を集める政策、まちづくりや地域政策など、そういったものを提案していかないといけないと思います。政治家側からすると、若者も声をあげてよ、と思っているところです。逆に何をすると政治や選挙に若者が関心を持つのか聞いてみたいのですが、いかがでしょうか。
(これまできく話では)難しい言葉が多かったと思います。子供でもわかるようにいってくれるといいのかなと思いました。市長がされていたような講演会が身近にあると、話を聞きに行なってわかりやすく理解できて、選挙にいったりするのかな、と思いました。
【答え】
今、日南市はこうするとよくなる、というのを高校生に出してもらい、提案を受けて、決勝戦までして、審査してコメントをするということをしていて、地元の高校と近い距離でいろいろとしています。やはり、市長から努力しないといけないと考えます。
若者の関心が低かったり、高齢者が選挙にいくから意見が通るという悪循環が生まれていると思いました。若者にも高齢者にもいい政策をしていく、というのは難しいのかもしれないと感じました。その均衡といいますか、どっちもこれくらいの、というのが大事と感じました。
【答え】
若い政治家を選ぶのが一つのカギかもしれないと思います。政治家も努力しないといけない。
子供達は普段、政治家との接点はありません。法が中立性を求める中で、候補者が学校へ来ることはできないが、そういうのがあってもいいと思います。許されている国はありますので。日本の法律は壁が高いですが。
日南市では、高校生だけでなく、小中学生にも「こんな日南市になったらいいな」という政策を公募しています。書類審査して発表会もして、市長がコメント等します。小学生の頃から日南市のことを考え、市長にアイディアを出す、市長と話しができるということは、長い目でみると、市民との距離が縮まりとてもいい取組だと感じています。
今回の講話を聞いて、私は若い世代が積極的に選挙に参加するためには、政治に対する意識を変えなければならないと感じた。
選挙権が18歳に引き下げられ、政治がより身近になったにも関わらず、若い世代の投票率は全体的に低い。このままでは私たちの意見は反映しにくいと私は考えた。
国に直接意見を述べるのは難しいが、自分の意見に最も近い人物に投票する事で訴えることが出来るが様々なメディアやネットに惑わされないようにしなければならない。そのためにも学校や家庭内で話題にあがるとよいと思う。
宮崎県選挙管理委員会
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