みやざきのうたと芸能101ロゴ シャンシャン馬道中唄

 
●神武さまで戦後復活
 大淀川流域に広がる宮崎平野を起点に、新婚夫婦が縁結びの神である鵜戸神宮に参詣(さんけい)する風習と、その道すがら歌われる「シャンシャン馬道中唄(うた)」は、共に宮崎観光の呼びものになっている。
 鵜戸さん参りは 春三月よ 参るその日がご縁日 ハー コンキー コンキー
  参りゃとにかく 帰りの節は 着けておくれよ青島ヘ ハー コンキー コンキー
 鵜戸さん参りに 結うたる髪も 馬にゆられて乱れ髪 ハー コンキー コンキー
  行こか参ろか 七坂越えて 鵜戸の神社は結び神 ハー コンキー コンキー
 太鼓、三味線、尺八の鳴物に、にぎやかなはやしが加わっての、明るく華やな道中唄である。
 馬の歩調に合わせた快いテンポで、旋律もたいへんなじみやすい。かつてこの一帯には、新婚夫婦が宮参りをする風習があり、大正の初めごろまで続けられてきた。これを守らないと陰口をたたかれることもあった。
 そこで夫婦は農閑期を利用し、鵜戸神宮へ出掛けた。あやかり族も多かったという。時期は歌詞にもある春3月、旧暦だから現在の4月、桜やレンゲや菜の花で飾られた花の道である。だが実際は3泊4日の、結構しんどい旅だったようだ。
 まず初日は宮崎から内海まで歩き、港の宿に1泊。翌日はサボテン公園裏の旧道をたどり、神宮境内の宿房に1泊。3日目は再び七浦七峠を回って内海の宿に戻り、馬をひいて出迎えに来た親類縁者と、打ち上げを兼ねての宴席、というのがおおかたの日程である。そして次の朝、晴れ着に着替えた花嫁を飾り立てた馬に乗せ、花婿が手綱を取ってわが家へと向かった。「シャンシャン馬」の名称は、馬の首に掛けた鈴の音からきているとも言われている。
 その際一行のだれかが音頭を取り、「伊勢音頭」や「よいやな節」やはやり唄などを、道中唄として歌いはやした。
 暮らしの変容で衰退したこの風習は、戦後の神武さまで復活し、これに合わせて昭和32年ごろ、県民謡会が残された旋律を基に、新民謡の道中唄をまとめ、奈須美静、藤元甚市らが歌い広めた。親しみやすく歌い栄えのする節調と、折からの新婚ブームに乗り、やがて全国の舞台やコンクールなどで愛唱されるようになり、現在に至っている。
原田 解
メモ
 シャンシャン馬の風習は、日南市平山の駒宮神社が発祥地とされている。秋の大祭に周辺から農耕馬を飾り立てて参詣し、その馬で新婚夫婦が鵜戸神宮などに宮参りをしたものである。毎年3月末に日南市で「シャンシャン馬道中唄全国大会」が開催されている。今年で14回目。





シャンシャン馬の写真
七浦七峠を越えた
シャンシャン馬


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