国文祭・芸文祭みやざき2020に向けて実施したフィールドリサーチの結果について
令和元年12月から令和2年1月にかけて、国文祭・芸文祭事業関係者、障がい者関係団体、交通機関事業者、自治体職員等延べ120名(実人数97名)が障がい者とともに国文祭・芸文祭会場について実地調査を行いました。その概要と調査結果は以下のとおりです。
なお、調査結果は、本調査の委託事業者である株式会社インクルーシブデザイン・ソリューションズがまとめたものです。
事業の目的
国文祭・芸文祭の各会場まで、障がい者とともに公共交通機関等を利用してアクセシビリティ調査を実施することで、日頃見過ごしている課題や魅力を再発見し、県外からの来客に対するおもてなし環境の整備を目指す。
調査の概要
実地調査では、リードユーザ(日常の不便を改善するため、積極的に創意工夫する障がい者)とともに目的地に向かって移動しながら、リードユーザが気づいた課題等を付箋に記載し、調査終了後、各自の付箋を持ち寄って課題を共有した。
実地調査後の総括では、まずグループごとに解決が必要な課題を抽出した後、「すぐに解決すべき項目」と「解決のために時間が必要な項目」に分け、前者について具体的な解決策等を検討した。
調査の日程及び各グループの検討結果概要
第1回
令和元年12月9日(月曜)11時~16時【実地調査】
- 【行程】
- 宮崎空港(JR)→都城駅(徒歩)→都城市総合文化ホール
- 【参加者】
- <リードユーザ3名>視覚障がい(弱視)、車椅子利用者(手動)、車椅子利用者(電動)
- <行政職員3名>都城市2名、県1名
- <関係団体11名>都城市総合文化ホール職員3名、県建築士会1名、県精神福祉連合会2名、宮崎空港ビル職員2名、都城市障がい者団体連絡協議会2名、YAH!DOみやざき1名
主な課題(PDF:350KB)
令和元年12月10日(火曜)11時~16時【実地調査】
- 【行程】:
- 宮崎市民プラザ(バス)→宮崎空港(JR)→宮崎駅(徒歩)→宮崎市中心市街地(バス)→メディキット県民文化センター・県立美術館
- 宮崎市民プラザ(バス)→宮崎空港(バス)→宮崎市中心市街地(バス)→メディキット県民文化センター・県立美術館
- 【参加者】
- <リードユーザ2名>視覚障がい(弱視)、車椅子利用者(手動)
- <行政職員18名>宮崎市10名、県立美術館2名、県6名
- <関係団体35名>県身体障がい者団体連合会2名、メディキット県民文化センター職員27名、県演劇協会1名、劇団こふく劇場1名、宮崎交通1名、宮崎市民プラザ2名、近畿日本ツーリスト1名
主な課題(PDF:631KB)
令和元年12月11日(水曜)11時~16時【実地調査】
- 【行程】
- 宮崎空港(JR)→高鍋駅(タクシー)→高鍋町美術館(徒歩)→高鍋町中央公民館
- 【参加者】
- <リードユーザ2名>視覚障がい(弱視)、聴覚障がい
- <行政職員6名>高鍋町2名、高鍋町美術館2名、高鍋町中央公民館1名、県1名
- <関係団体1名>県手をつなぐ育成会
主な課題(PDF:312KB)
令和元年12月12日(木曜)11時~16時【課題整理】
- 【場所】
- 【参加者】
- <リードユーザ2名>視覚障がい(弱視)、聴覚障がい
- <行政職員4名>宮崎市2名
- <関係団体11名>県身体障がい者団体連合会2名、メディキット県民文化センター2名、県聴覚障がい者協会1名、宮崎市聴覚障がい者協会1名、宮崎交通1名、YAH!DOみやざき1名、宮崎空港ビル1名、近畿日本ツーリスト1名、県ホテル旅館生活衛生同業組合1名
課題のまとめ(視覚障がいリードユーザ参加グループ)(PDF:660KB)
課題のまとめ(聴覚障がいリードユーザ参加グループ)(PDF:585KB)
第2回
令和2年1月29日(水曜)17時~20時【実地調査】
- 【行程】
- 【参加者】
- <リードユーザ4名>視覚障がい(弱視)、聴覚障がい、車椅子利用者(手動)2名
- <行政職員6名>県
- <関係団体10名>県視覚障がい者協会1名、県聴覚障がい者協会5名、県建築士会1名、Doまん中モール委員会等3名
主な課題(PDF:1,497KB)
令和2年1月30日(木曜)11時~15時【総括:課題抽出、改善策検討】
- 【場所】
- 【参加者】
- <リードユーザ4名>視覚障がい(弱視)、聴覚障がい、車椅子利用者(手動)2名
- <行政職員6名>宮崎市3名、都城市1名、高鍋町3名
- <関係団体11名>都城市総合文化ホール2名、県視覚障がい者協会1名、県聴覚障がい者協会5名、県身体障がい者団体連合会2名、宮崎交通1名
課題と解決案(宮崎市グループ)(PDF:1,192KB)
課題と解決案(都城市グループ)(PDF:816KB)
課題と解決案(高鍋町グループ)(PDF:1,002KB)
課題と解決案(聴覚障がい者グループ)(PDF:1,593KB)
今後の方向性について
本調査において挙げられた課題を「短期的な解決の方向性」(少しの工夫や配慮によって改善が可能な項目)と「中長期的な解決の方向性」(すぐに解決することが難しく、長期的な改修や改善計画が必要な項目)の二つに分け、示された今後の方向性は次のとおり。
【参考URL】
まとめ
情報に関しては、ネガティブな情報をありのまま伝えることも大切。そうすることで、利用者が事前の情報から自分の行動を選択・準備することが可能となる。
また、アクセス情報に公共交通機関の情報(低床バスの有無や最寄りのバス停・駅からのバリアフリー情報など)を記載すると安心して会場へ足を運ぶことができる。
建物などのハード面は比較的使いやすい仕様になっているものの、たとえば最寄りのバス停から会場までの経路が分かりにくかったり、車椅子での公共交通機関の利用に制限があるなど、移動に関して課題が多く、利用者にその情報が届いていないため、関係各所が連携して取り組む必要性がある。
リサーチ後の動き
多目的トイレの鏡の改善(宮崎空港ビル)
- <課題>立った状態で使用することを想定して設置されているため、車椅子利用者のように視点の低い人は使用することができない。
- 改善:サイズの大きな鏡を設置。写真:左が改善前、右が改善後。
案内板の改善(県総合文化公園)
- <課題>案内板がバスの降車場所から離れた場所に設置されている。
- 改善:バス停からの動線を考慮した場所に案内板を移設するとともに、点字を追加する予定。
- <課題>案内看板が老朽化している。
- 改善:老朽化した案内看板を改修する際、配色も工夫する予定。

思いやり駐車場の増設(高鍋町美術館)
